ランチを食べた場所に、鳥のカレンダーが置いてあった。2026年の最初のページに白いオウムが何羽も並んでいる写真があった。そのときは“こんなにいるんだ”と思っただけだったけれど、あとから考えると、その一枚の背景には、人が守ってきた時間があったのに気づいた。
カレンダーを見ながら「会えるチャンスある?」とガイドに聞くと
「うーん、2時間くらい走ったら見られる場所はある」と、少し渋い返事。ああ、今回は無理なのか、と、その時はあっさり諦めた。
でもそのあとだった。探鳥していると、「あそこに白いのがいる」と声が上がる。見上げると、白い鳥がいた。しかも鳴き声が、カン高い、インコにも似たあの大きな声。
さっきカレンダーで見たあの鳥がいる。
そう思った瞬間、急に現実味を帯びてきて、ただただ嬉しかった。もともとコザクラインコから鳥の世界に入った自分にとってこの仲間に出会えることは、やっぱり特別だった。
最初に見たのは4羽ほど。同じ木にいて、空に抜ける枝の上に白い体が浮かんで、とてもきれいだった。白い鳥は、やっぱり目立つ。葉の隙間から抜けたときの存在感が、圧倒的だった。
お尻のあたり、尾の付け根にはピンクと黄色。その色が見えると、なんとも言えずかわいかった。
観察していると、2羽が近くに並んできた。最初はどちらも冠を立てていたのに、
下にいた個体はすぐに落ち着いて、するっと冠を下げた。丸くてつるんとした頭になると雰囲気が変わる。
一方で、上の個体はずっと冠を立てたまま。同じ場所にいても、こんなに違うんだと思った。性別なのか、性格なのか、それとも役割なのかはわからないけれど、「その個体ごとの反応」が見えてくるのが面白かった。

そのあと、もう一度出会った個体は、何かを食べていた。
最初は葉っぱを食べているのかと思った。
でもよく見ると、どうも違う。葉というより、細い枝や茎の部分を、足で押さえて、くちばしでちぎっているように見える。
写真でははっきりしないけれど、若い枝、あるいは新芽のあたりを食べているようだった。
インコやオウムは果実や種を食べるイメージが強かったけれど、こうして見ると、枝や茎も利用している。ただ果物を食べているだけではなく、植物のいろいろな部分を使い分けているのだと思った。
あとから知ったことだけれど、
この鳥は一時期、ほとんど絶滅しかけていたらしい。
原因は主にヒナの捕獲で、ペットとして持ち去られてしまうことだったという。野生からいなくなるという意味では、結果としては捕食とあまり変わらないのかもしれない。
その状況を変えたのが、
Katala Foundation(カタラ=Philippine Cockatoo フィリピンコカトゥー、和名フィリピンオウムの現地名)というフィリピン・パラワン島で活動する保護団体の存在だった。
調べてみると、地元の人たちが保護に関わる仕組みがあり、以前は捕獲に関わっていた人たちも、守る側に回っている事例もあるようだった。
森のことを一番よく知っている人たちが、
今度は守る側になる。こういう話はアジアや中南米でも聞いたことがある。
そうやって少しずつ、数が戻ってきている場所もあるらしい。
だから、もしかしたら。10年前にここに来ていたら、この鳥には出会えていなかったのかもしれない。
カレンダーに並んでいたあの白い鳥たちは、ただ「たくさんいる」ように見えたけれど、その背景には、そういう時間が積み重なっているのだと思った。
今回の出会いは、ただ偶然見られたものではなくて、誰かが守り続けてきた結果としてあったものだと思う。感謝しかない。


