シマフクロウって?
北海道にのみ生息する、日本最大のフクロウ。
翼を広げると翼長が2メートル位にもなり、
魚をとる際に翼を広げて水の中に入るその姿は、
何度見ても、美しさと大きさに目を奪われる。
主に魚を食べる鳥。
アイヌ語で、シマフクロウの呼び名は複数あり、
コタンコロカムイ、カムイチカブ、フムフムカムイ、モシリコロカムイなど、
いずれも、神の意を持つ「カムイ」がつく。
実際に目にしたら、その大きさや雰囲気などから、
神々しく、カッコよく、心を奪われた。
シマフクロウが見れる宿2軒
自然状態で見るのは、難しい鳥というか、ほぼ無理な鳥。
魚をイケスのような囲った場所に入れて放し、
夜にその場所に魚をとりに来るフクロウが見られるチャンスがある宿2軒に宿泊して、観察してきました。
そういう行為に、賛否両論あるとは思いますが、
それは論じたくないので。
それが嫌な方はこれ以上、読まないでくださいね。
湯宿だいいちと観察状況
1日目は、中標津町養老牛にある湯宿だいいちに宿泊。
温泉が複数あって、自分が訪問した日は、温泉目的に来ている方がほとんどのように見受けられ、
鳥を見ている方もいたけど、夜にシマフクロウを長時間待っていた人は他に1組。
朝に餌台に来ていたハシブトガラ、ゴジュウカラ、アカゲラなどの小鳥を見ていた人も、合計で10人もいない状況でした。
流氷のくる時期が、鳥を見たい人にとっては、ハイシーズンかと思うので、少しずれていたのもあるとは思います。
シマフクロウや翌朝の小鳥が最も見やすい場所に、
椅子は4席しかないので、空いててよかった。
この宿では、シマフクロウは、ガラス越しにしか見られない。
でも、見ている場所から5メートルと離れていない所にイケスがあり、
見るだけならよく見えるので、写真を撮らないのなら全く問題はないでしょう。
ライトの影響で黄色っぽい写真にはなりましたが撮れはします。
この宿でシマフクロウを見るメリットは、全く寒いことなく、快適な状態でシマフクロウがやって来るのを気長に待てるということ。
シマフクロウは数個体いるそうで、
今回は、2個体を観察。
警戒心の強いメス(「タッチアンドゴーでしたね!」と仲居さんに言われた魚を捕獲をしてすぐ飛んでしまった個体、
でも2回来てくれたし、ライトの当たらない木の上ではしばらく滞在してくれ、うすぼんやりとその大きさ等が確認でき翌日の観察に役に立ちました)と、
左目の悪いオス。
この個体は、その夜、70分以上イケスに長時間滞在し(性別は宿にいた慣れた風の人から教わる)魚をよく食べ、その姿を見せてくれました。
翌朝、自分の部屋の前にシマフクロウが朝まで止まっていたという人が話しているのを聞き、
確かに、川沿いにその雄フクロウは飛んで行ったので、
川沿いの部屋は、部屋からも見るチャンスがあるかもしれないので、どうせなら、そこを選択するのが良さそう。
部屋が多種多様で、選ぶのに苦労したけど、次回からは、チャンスは薄いけど、そこを選ぼうと思う。
民宿鷲の宿と観察状況
2軒目のシマフクロウを見る宿は、
こちらは本格的。
シマフクロウがしっかり見たくて、撮影したい人向け。
より、自然状態に近いシマフクロウが観察できる。
バードウォッチャー御用達の宿で、
噂もたくさん聞いていたので、
ウェブサイトも見たけど、
ドキドキしながら今回初めて行ってみた。
電話して予約をする際に初めてだと伝えて、
いろいろ聞いてから行ったし、
早めに着いて、気になってることは確認し、
宿のお父さんが細かに教えてくだったので全く問題なく、
そして恐れていたことは何もなく、快適に観察・撮影ができた。
プレハブの観察小屋兼食事場所があって、そちらから観察・撮影するのだとばかり思っていたが、
宿泊した自分の部屋から、シマフクロウを待つことができて、
結果的に、夜通し自室の正面にやってくるシマフクロウを自分が起きて待っていれば、見ることができた。
着いたときに、前日早くにきたから、夕食は16時半からと言われ急いで食べて、部屋に戻り待機していたら、
17:30には、拍子抜けするくらい早々に飛んできた。
ちなみに、行った時は、16時過ぎには真っ暗になるころ。
21時ごろを過ぎたら、一度しばらくは来なくなるから、一度寝るといいと親父さんにアドバイスを受けたのでおよそ、そのようにし、
その日は、17:30〜22:00の間に、6回採餌を観察できた。
1回に2匹ずつ食べるメスと今年生まれの子供、
オスは、1回に1匹食べるのを確認。
オス、メス、子供の3羽が、2回ずつ来た。
そして、しばらくこないだろうと思って、
2時に目覚ましをかけて、仮眠。
(でもこの間にも実際には2回来ていたが、それは翌朝知る)
2時過ぎに起きてなかなか来ないので、今日はもう来ないのかな?と思ったら、
3:20子供が来て、一気に3匹たいらげる。
4:00オスが、食べに来て、
4:38メスが来て、1匹食べ、1匹はくわえて飛び去るのを見て、
きっと今日は終わりだろうと思って寝ました (で、実際それが最後でした。)。
観察時は窓を全開にして、観察撮影するので寒くて眠気も覚めました。
ちなみに外気温は、夕方で0度前後。
教わった通り、部屋の電気はつけずに、小さいデスクライトのみをつけてずっと待っていましたが、
シマフクロウは大きいので、
ずっとイケスを見続けなくとも、
来れば見落とすことはなく、
待っている間は閉めていたカーテンからチラッとイケス方向を見て、
あ、いた! ということもしばしば。
宿泊した前夜から雪が降って、降り積もった雪で地面や他が白かったのもあって、
みつけやすかったのも幸いしたのかもしれませんが、
多分、見たい人なら、一度そのサイズ感をわかってしまえば、見逃すことはない感じの大きさです。
前日に、シマフクロウの大きさと木に止まる感じを確認できていたので、
暗闇の中のシマフクロウも認識できて、
そこにはライトが当たっていないので、
よくは見えないのですが、
そこから飛んでくるのを待ったりということもできました。
魚を採る姿が爬虫類に似て見えた
魚をとるために、
イケスの中をじっとシマフクロウが見つめるのですが、
魚を見つめながら、段々と水面に顔を近づけていく様子が、
何かに似ていると感じ、
それが飼っている爬虫類、ヒョウモントカゲモドキのレンの餌を食べる直前の動きと同じと気付きました。
去年からよく観察している爬虫類、
そしてよく見ていた鳥類、
共通点を感じることは、私はあまりないのですが、
シマフクロウが、魚をじーっと目で追っていて、首を時々カク、カクと動かし、水面に顔を近づけていく様子と、
レンが、人工の餌に気づき目を見ひらきつつ、それにロックオンして、3回前方にある餌に徐々に頭を近づけていく様が、
あぁー、似てる! と感じたのでした。
シマフクロウの目は、残念ながら見えないのですが、
きっと、魚を凝視してロックオンしているだろうし、
レンの目がしっかり見開かれ、パッチリしているのは餌を取るときだけなので、この時の真剣な眼差しや、雰囲気はきっと一緒なのねと感じたのでした。
鷲の宿情報、シマフクロウは年中見られる
鷲の宿のお母さん曰く、
「シマフクロウがイケスの魚を食べにくるのは食事なので、繁殖期中も来るから一年中見られる、絶対とは言わないけど。」
とのことでした。
30年来のペアが落鳥して、
新しいペアが来るようになって6年。
今年初めて、繁殖に成功したとのことで、
ペアと雄の子供の3羽を観察できました。
子供はよく食べていたし、繁殖成功のニュースは喜ばしい限りです。
鷲の宿のウェブサイトには、どの時期がどんな状況かが書かれていますので、
それを参考にするといいでしょう。
ウェブサイトは「シマフクロウ オブザバトリー」と出てくるので、
一瞬違うところかと思いますが、一緒なので安心してください。
2月は本来は激混み
1、2月は外国人が探鳥に知床に世界中からやってきます。
オオワシ、オジロワシ、シマフクロウを見にやってきます。
なので、すでに2月は満室と言ってましたが、
今の状況だと、
海外からの入国がしばらくまたストップしそうなので、
今年はこの先、また状況が変わりそうですね。
今回の観察の旅の行程ほか
往復のフライトは、LCCのピーチで、女満別空港を利用。
そのあとはレンタカーで行動。
15時にレンタカー屋を出発、約2時間で1泊目の宿、湯宿だいいちへ。
到着後、17:30から夕食を取り、その後、24時過ぎまでシマフクロウを見る。
2日目、雪も降ってるので、
餌台にくる小鳥を見て、ゆっくり11時のチェックアウト。
約1時間半で羅臼へ。
ビジターセンターなどに立ち寄ってから、15時に民宿鷲の宿へ。
3日目、9時半に宿を出て、途中カモメやシノリガモなどを見て、斜里の知床博物館によってから女満別空港へ。
15時半発のフライトで、成田空港へ。
あっという間の2泊3日でした。
寝不足にはなりましたが、
普段の爬虫類両生類観察の旅に比べたら、
寒いのが大変なくらいで、ちゃんと食べ、よく眠れる旅でした。
また季節を変えて行ってみたいと考えています。
雪のない時期、例年なら12月中旬〜3月末と宿で教わりましたが、
オオワシや流氷を見たいなら、寒い時期に行かねばならないしで悩ましいですね。
私は早くも寒い時期に行きたい気持ちでいっぱいです。
帰ってきて、写真を見返していたら、
シマフクロウの白い脚が、
シロフクロウの脚を思い出させ、
また海外に鳥が見にいける時が早く来ないかなぁと思ったのでした。