パラワン島の鳥を見ていて、最初に少し戸惑った。
ここは本来、ボルネオと同じ側、いわゆるスンダランドに属する場所で、ウォーレス線の西側にある。
だから、生き物も基本的にはアジア側のはずなのに、見ていると、どこかそれだけでは説明しきれない感覚が残る。
パラワンは、もともとボルネオとつながっていた島が、海面上昇によって切り離され、長い時間をかけて独立してきた場所だと言われている。
その間に、外から入ってきたものと、この島の中で整えられたものとが、重なっていったのだと思う。
実際に森の中で見ていると、鳥は大きく三つの流れに見えた。
ひとつは、ボルネオから続いてきたような鳥たち。
ジチメドリやサイホウチョウやヒヨドリの仲間ように、森の中に溶け込んで、気づけばそこにいるような存在で、「ああ、この感じ」と思う、見慣れた動きと色をしている。

もうひとつは、この島の中で整えられたような鳥たち。パラワンガラやアカハラヤイロチョウなどマットで、光を反射しないやわらかい色や、パラワンコクジャクやタイヨウチョウの仲間も光の加減でだけ立ち上がる控えめな色をしていて、派手にならなくても成立する場所で、そのまま形になったように見えた。その美しさもまた、この島の独特さを感じた。


そして、ここにはいないはずの流れの鳥が、当たり前のように現れた。
尾の先にうちわが付いているインコや大きなオウムの仲間を見たときは、少しだけ場所の感覚がずれた。
ウォーレス線という境界はあるけれど、ここではそれがきれいに分かれているのではなく、にじむように重なっているのだと感じた。

森そのものも、ボルネオとは少し違っていた。
道路沿いからアプローチ出来る森を見ていたのもあるが深さや高さはやや控えめで、暗さも少なく、光が入って全体に抜けている。
それでも、雰囲気はボルネオに近い。
だからこそ、この三つの流れの鳥が無理なく重なって見えるのかもしれない。
この島では、鳥はまだ生息していると感じたし、インフラと移動時間、食事も含めて、旅としてのバランスもいい。
現地3泊でも十分に楽しめたし、もう1日あればかなり余裕ができ、さらに広がりも見えるだろう。
ボルネオから続いてきた鳥と、
この島で整えられた鳥と、
そして、ときどき別の流れの鳥が混ざる。
ひとつの系統ではないのに、
全体としては、最終的に不思議とまとまって見えてきた。
パラワンは、そんなふうな島だった。


