魅惑のマダガスカル 動植物だけでない 今あるものを改めて感じる旅

マダガスカルに動植物を観察・撮影する旅に行く自分が言うのも変かもしれないが、この島国に行って、ガイドからマダガスカルの現状を聞いていると、日本に普通にあるものが、かなりないことに気づき、その中でしばらく過ごしていると色々感じることも多く、不便というのだけと違って、それが他の国を旅している際にはない感じなので、これはこの国の魅力かもしれないと思ったのでこれを書き始めた。

電気、ガス、水道は、お金持ちの家にしかない。

庶民はソーラーパネルでテレビは見てるけど、電気は常に十分にないから冷蔵庫がない。だから、毎日買い物をする。お肉は鶏が一番高級品で、日本とは逆。その理由は小さい方が管理がしやすく、フレッシュだから。常に家の周りの道路に鶏がいる。餌をもらえるから遠くに行かないのかもしれないが放し飼い。家の中に入って追い払われる鶏も見た。鶏を買った人は、生きたまま足を持って逆さまにして運んでいる。今回は見なかったけど、トラックの脇に逆さまに多数吊るされて生きたまま運ばれていのをよく見た。今回、秀逸だったのは、鶏ももが一本だけ、お店からわざわざ道路に近づけた別の台の上に一つポンと置かれた光景を見たことだ。ラップがかかっているわけではないから、砂埃を相当かぶっているはずだが、ぱっと見は虫もたかっておらず新しそうだった。多分、まだいい肉。昔腐っていると思われるような肉が売られていて(ハエがたくさんたかっていて、肉そのものも黒かった)気になって聞いたら、より貧しい人が買うからいいのですと説明されて、そういうものかと思った。マダガスカルにいると日本の常識が役に立たない。想像をひょいと超えてくる。

火は炭で起こす。木の炭は高級品で、もっと貧乏な人はユーカリの炭を使うという。ユーカリの炭で焼いてないピザというのはそれが売りになるのだと聞いて、自分は食べたことないからわからないけど、あのユーカリの独特な匂いが食べ物についてしまうのだろうかと想像した。炭も大きな袋で売っているのを見るが、小さな小袋で売られているのもあって、いっぺんにたくさん買えない人が買うと聞いた。数日もつそう。それは、割とアフリカでは普通で、タンザニアでもタバコを箱でなく、数本や一本で買っているのを見かけて驚いたけど、それなら売れるから、頭がいいと逆に思った。

水道は、街かどのある場所にはきていて、蛇口の栓を自分で持ってきて共同で使ってるのはいい方で、村の井戸は海が近ければ海水が混じっていると聞いた。。実際に過去に海に近い場所の宿のシャワーの水が海水のように塩っぱくて、洗ってもベタベタするようなことがあった。水の処理がうまくできていないのが普通なんだろう。

という、インフラの基本というか、その3点が整っていないから、何もかも日本とは違う。

道路が悪い。

相当悪いというか、悪いのが普通で、より悪いところ、雨が降ったら通れなくなるとかが普通だ。どのくらい降ったらダメとか、降って何日後なら大丈夫とかがマダガスカル人にはわかるのだろう。今回、2日にわたって悪い道を通った経験をしたが、朝に激しく雨が降る分には、それほど道にダメージがないというのがある場所ではわかった。多分、それは、全ての道において条件は変わるだろうとは思っているが、道路への雨のダメージが少し理解できた。今後の参考にできそう。なんでそんな事を真面目に考えたかというと、車で道が悪くなって立ち往生して一晩車で寝たり、トクトクで帰る途中に道に何度もハマって、エンジンがかからなくなって、あわやまた帰れない目にあったからだ。車は密閉性のある乗り物だけど、トクトクは雨風にさらされるから辛いねとも同行者と話した。みんな視点が違うのが面白い。

普段、道路がよくない場所ばかりに行ってるから、気にしていないというか、気にしないようにしてるけど、久々にマダガスカルで長時間、10時間以上揺られて、時に体の一部を激しくぶつけてアザができたり、シートベルトをしても体が固定されないほど揺れるから、乗ってるだけなのに本当に疲れる。でも相当激しく揺れていても読み書きもできるし作業もできるのが私の特技かもしれないと、今回指摘されて気付いた(笑)

なんで道がそんなに悪いかというと、舗装されている道路ももちろんあるが、穴が多い。それは割と普通だけど、そこに雨が降ると崩れる。そして土の部分に大きな水たまりができ、大きな重いトラック(過積載で傾いているトラックもいる。過積載の概念があるのだろうか、ない気もする)が通り道をさらにえぐる。今年訪れた東海岸のエリアは本格的な雨は12月に入ってからのはずだったが、到着2日前にかなり雨が降って状況が一気に悪化し、それで車ではいけなくなり歩いていくことになって、大変なことにもなった。

四輪駆動車が真に必要な国はこの国だと思う。

だけど、この国にそんなにいい車はない。車もそれほどよくないし、道も悪いから、過酷な状況に陥りやすい。日本で四輪駆動車が好きで乗っている人には、ぜひマダガスカルに来て一度運転を試して欲しい。本当に必要な環境に身を置いたら、好きな人はわくわくするのだろうか、聞いてみたい。私の周りに車好きな人はいないから聞けないのが真面目に残念。一度だけ、西部のイファティという町でボンボンが買ってもらったというピックアップトラックの新車に乗って案内してくれたことがあったが、私はそれには乗れなく残念だった。マダガスカルに来たら少しでもいい車に乗ることが本当に大事。車なのに押しがけするし、エンジンがかからなくなりそうな音を聞くたびにヒヤッとする。

宿は生きもの観察に行っているから別に高級ホテルなわけでもなく、観光地でもないからそれほど選択肢はない。ベーシックなというとわかりにくいが、要は水回りがあまりよくない。水の出が普通であれば御の字で、お湯が出れば最高という感じ。お湯も調節が難しくて、熱くてたまらないというか浴びれないシャワーも時にあるが、お湯が出るなら当たりだ。宿に泊まって、シャワーがの水量がちゃんとあって、熱いお湯が出るだけで本当に幸せな気分になれる。マダガスカルにいると幸せの閾値がぐんと下がる。時々いい宿に泊まっても、水回りのトラブルは普通にあるから、日本の水回りの技術を伝えたらどんなにか発展するだろうと真剣に思うし、絶対に食いっぱぐれない仕事だと思う。

日本に普通にあるものが無い体験は、いまどきそうは出来ない。別にそれをするためにマダガスカルの旅を薦めたいわけではないが、12日間の旅を終えて帰宅して、お風呂がとても気持ちがいいこと、日本にいたら毎日シャワーを浴びる必要性が全く無いこと、道路はどこも平らで、歩くのに気をつける必要もない。自転車に乗ると車と人に気をつける必要があるけど、マダガスカルでは、車、オートバイ、トクトク、人力車、自転車、人とさまざまなスピードのものが、同じ道を一気に走ってくるから、よけるのがより難しく感じた。これは、今回はじめて気付いて面白いと思った。こんなゲームあったような。

オーガニックというと、日本では高級イメージがまだある気がするが、マダガスカルでは食品はほぼオーガニックだ。木になったフルーツをとってきて売っている。だから旬が来ないと食べられない。ライチが赤くなって木にたわわになっていて美味しそうだから食べたいと伝えたがまだ早くて酸っぱいから無理と言われ断念したけど、車から目にするととても食べたくなった。海からとってきた、エビ、カニ、魚も道で売っている。生臭い匂いがしてくるからすぐにわかる。そして魚は地引網でとっていた。冷蔵技術も庶民にはないから地産地消で売れなかったら自分で食べているのだろう。話はそれるが、海辺にあった舟も木をくり抜いたような舟だし、水をかき出しながら手漕ぎですすんでいる。帆船みたいな帆がついている舟もある。アウトリガーの船もあるが、シンプルな船がほとんど。船外機のような工業製品のついた船は今回は見なかった。そのくらい全てがシンプルな世界だ。知ってはいるけど、その景色を目にするのは違う。感じるものがある。

マダガスカルは日本の1.6倍の国土に独自の動植物がたくさんあって、生きもの好きにはたまらない島ですが、マダガスカルの今の生活をながめて知るのも興味深い。フランスの植民地だったので、本当に美味しいフランス料理もリーズナブルに食べられますし、フランス人がたくさんいるし、外国人には皆フランス語で話しかけてきます。マダガスカルでは外国人はフランス語を話すのが普通なのです。その一方、レンガの家、木の家など、藁(草)の家など、家もさまざまあります。

文化というか、現在のマダガスカルに触れてみることが、目新しくて旅として楽しいかもしれないと思ったので書いてみました。

旅した後に、いつも書きたいことは沢山あるけど、やることが溜まっているので出さずにずっときましたが、思うところあって書いています。

この記事を書いた人

アバター画像

橋場みき子

生きものに出会うために自然の旅に出かけてその環境の動植物を観察してメンバーと気づきを共有し楽しむのがライフワークです。自然の旅はリクエストに応じてご案内もしますし、自分が行きたい場所、出会いたい生き物の情報がが入ってくれば、声をかけて二人でも、いなければ一人でも出かけます。今年は新しい情報、人との出会いが多く違う世界が見えてきました。同じような感性の方と出会いたい。そのためにはどうしたらいいのか?を最近よく考えています。

イベント情報

イベント情報

ただいま、オンラインで、zoomを使ってイベント開催中です。リアルなイベントは、様子をみながら再開を検討します。

国内で観察撮影した写真を見ていただき、その時の様子をお伝えしています。

みなさん、ぜひ一度お気軽にいらしてください。

生きものや自然、旅の話でおしゃべりしましょう。

Facebook Page

「いいね!」すると、ブログ更新のお知らせと、世界の旅で撮影した写真があなたに届きます。