タンザニアのタランギーレ国立公園でサファリをしていたとき、ホオアカオナガゴシキドリがシロアリの巣をつついているのを見た。
最初は昆虫を探しているのかと思ったが、土を削って食べていた。しかも1羽ではなく、3羽で同時にやっている。
普段はかなり硬いはずのアリ塚の表面も、雨で湿って削りやすくなっていたのかもしれない。
そこで気になった。
そもそも、あのシロアリ塚は何でできているのか。
調べてみると、シロアリは地下の土に唾液や排泄物を混ぜて、あの構造を作るらしい。
土は大きく三つに分けられる。
砂(sand)
シルト(silt)
粘土(clay)
これはサバンナに限った話ではなく、土の基本的な分類だ。
砂は粒が大きくざらざらしている。
粘土は非常に細かく、水を含むと粘りが出る。
シルトはその中間で、粉のように細かい。
この「シルト」という言葉に引っかかった。
サバンナでは、この細かい粒子がはっきりと見えることがある。
乾いた季節に車で走ると、細かい粉が舞い上がり、光に当たってきらきらと浮いて見える。
一日中移動していると、荷物や機材の中にも入り込む。
カメラの隙間に入り込んでトラブルになることもある。
あれがシルトだと考えると、納得がいく。
ただ、今回(2026年2月末〜3月初旬)は雨が多く、この細かい粒子が舞い上がることはほとんどなかった。
いつもこの時期に来ると細かい粉や砂にまみれる感覚があるが、今回はそれをほとんど感じなかった。
他の場所でも同じ分類の土はあるはずだが、サバンナほど「見える形」でシルトを意識することはあまりない。
サバンナでは、土がそのまま体感できる。
シロアリ塚は、その土を使って作られている。
地上に見えている塔のような部分は、内部の環境を保つための構造の一部と考えられている。ただし、巣の大部分は地下に広がっている。
内部には空洞や通路があり、環境が一定に保たれている。
また、多くの種類のシロアリは植物片を持ち込み、菌を育ててそれを利用している。
こうした活動によって、地下の土が地表に運ばれる。
その結果としてできるアリ塚は、周囲とは性質の異なる土の塊になる。
サバンナでは、このアリ塚が別の動物にも利用されている。
シママングースが上に乗って周囲を見渡しているのをよく見かけるし、空洞がねぐらとして使われることもある。
ひとつの構造物が、複数の動物に使われている。
さらにこの地域の土自体も、背景を持っている。
セレンゲティ国立公園からンゴロンゴロ保全地域にかけての大地は、過去の火山活動による堆積物が基盤になっている。
そのため、ミネラルを多く含む土壌が広がっている。
その上で草が育ち、草食動物が集まり、捕食者が集まる。
地上に見えている景色は、その結果としてできている。
サファリでは地上の動物に目がいくが、同時に地面の下でもシロアリが土を動かしている。
アリ塚を見ていると、その一部が表に出ているだけだということがわかる。
2007年からこの環境を見てきたが、これまでシロアリを気にしたことはなかった。見ていたはずだが、意識に上がったことはなく、3羽で土を食べているのを見て、はっきりと今回気になった。


