今回は、最初から「いつもと違う」と感じていた。
初日から雨に降られて、
サバンナの匂いがまったく違っていた。
乾いたときの匂いではなくて、
雨が降るとこういう匂いになるんだ、と思った。
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そのあと、いろんな場面で違いに気づいた。
昆虫が多い。
しかも、いつもと種類が違う感じがする。
大型の蝶や蛾、色のはっきりしたもの、白いもの、
いろんなタイプのものが一気に出てきていた。
体の重そうな甲虫が、斜めに横切るように飛んでいくのも何度も見た。
ああいう飛び方をするものが、こんなに目につくことはなかった。
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鳥の様子も違っていた。
今まで見たことのないディスプレイが始まっていた。
一羽だけではなく、まとまってやっていたり、
オスがメスを追いかけながらディスプレイしていたりする。
これまで見たことのある種もディスプレイはしていたが、
見たことのない種がディスプレイしている場面にもでくわした。
正直、かなり驚いた。
「いつもより時間が進んでいる」感じがあった。
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水の量も明らかに違っていた。
湖から水が道路にまであふれて、フラミンゴが大量に集まっていた。
おかげでかなり近い距離で見ることができた。
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もうひとつ印象に残っているのが、草の状態だった。
普段は乾いて見える場所が、
全体的にやわらかい緑になっていた。
水を含んでいるせいか、色もきれいで、
景色全体が少し落ち着いた、やさしい雰囲気になっていた。
その中に、白い花がたくさん咲いていた。
こんなふうにまとまって咲いているのは見たことがなかった。
花の中にトムソンガゼルがいる景色は、天国のように見えた。
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もうひとつ、雨で変わっていたのは「見え方」だった。
乾いたサバンナでは、遠くは蜃気楼で揺れて見えにくいことが多い。
でも雨が降っていると、それがほとんど出ない。
そのおかげで、遠くのものが驚くほどはっきり見え、遠くに出ていたクロサイも、とてもすっきり見えた。

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別の場所では、カエルがまとまって出ていた。
これまで見たことのないような出方で、
一箇所に溜まるように出てきていた。
その場所には、サギやコウノトリの仲間がたくさん集まっていた。
そして、カエルをどの水鳥たちもすごい勢いで食べていた。
食べ終わったあと、
みんなで羽繕いしているのも見えた。
お腹が満ちて、全体に落ち着いた雰囲気になっているのがわかった。
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こういうことは、それぞれ別の場面で見ていた。
ただ、振り返ると、どれも雨の影響があったと感じた。
雨が降って、
昆虫が増えて、
鳥の状態が変わって、
水が増えて、草がやわらかくなり花が咲いて、
カエルが出て、
それを食べるものが集まる。
そのときは断片として見ていたものが、
あとで一つの流れとして繋がった。
今回見ていたのは、
雨のあとに動き出したサバンナの一部だったのだと思う。

