ライオンの発情で見えたもの|“状態”としての発情を観察する

最初は、「見てはいけないものを見ている感覚」があった。

ライオンの交尾をしっかり見るのは今回が初めてだった。

ただ、目の前で起きていたことは、前後の流れも含めて、想像していたものとは違っていた。

あの場には、ラブラブとしか言いようのない空気があった。

うまく言葉にはできないが、その空気が強く印象に残った。

オスとメスの距離が近い。

不自然ではなく、自然にそこにある距離だった。

全体の空気も違っていた。

荒さや緊張ではなく、落ち着いた、和やかな状態だった。

オスはメスに密着し、体を舐める。

普段のように離れているのではなく、継続して関わり続けている。

メスもそれを受け入れている。

拒否はなく、距離にも無理がない。

行動を見る前に「今はそういう状態だ」とわかる。

交尾自体は短い。

数秒で終わる。

ただ、その前後の時間が長い。

関係が続いている時間が、はっきりと見える。

交尾の直後、メスは強く反応する。

振り向く、唸るといった行動が出る。

強い刺激に対して体が反応している状態で、

受け入れていることと、強く反応することが同時に起きている。

交尾のあと、オスは少し離れて呼吸を整える。

直前までの集中が抜けていくのが見える。

この流れが、一定間隔で繰り返される。

ガイドの話では、メスが受け入れなくなると関係は終わり、

この状態も長くて1週間ほどで解消されることが多いという。

実際に、メスが受け入れなくなると距離ができ、

それまで近かった2頭が自然に離れていく。

今回見ていたのは、交尾そのものというより、

発情という短い期間に起きる「状態」を観察していたのだと思う。

一連の流れを目の前で見ることで、

生き物としての仕組みが、少しだけ具体的に理解できた気がした。

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橋場みき子

生きものに出会うために自然の旅に出かけてその環境の動植物を観察してメンバーと気づきを共有し楽しむのがライフワークです。自然の旅はリクエストに応じてご案内もしますし、自分が行きたい場所、出会いたい生き物の情報がが入ってくれば、声をかけて二人でも、いなければ一人でも出かけます。今年は新しい情報、人との出会いが多く違う世界が見えてきました。同じような感性の方と出会いたい。そのためにはどうしたらいいのか?を最近よく考えています。

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