自然の中で観察した鳥や花の名前を知ることは楽しい。
名前がわかれば後で図鑑を読むこともできるし、名前がわかれば人とそれについて話をすることもできる。
だから、名前がわかることは大事だと思っています。
でも、新しい自然豊かな場所へ行き、新しく花や鳥を見て名前を知ることだけに重きを置くのは、なんか違うなぁと、薄ぼんやりと長いこと思っていました。
でも、だからどうしたらいい、自分がどうしたいのかの答えは見つからなかった。
でも、やっとわかった、天から降りてきた。やるべき事がスッキリした。
それは、三ツ峠山荘のご主人、中村光吉さんにお会いできたから。この方、山荘のお仕事と共に、三ツ峠の自然の保全活動をされています。
保全活動と言ってもピンとこないと思いますが、本来の三ツ峠の姿であった状態に、戻そうということです。
かつて、自然の花は取ってもいいものだと思っている人が大勢でした。(今でもそういう人もいますが)
キレイな花を持ち帰って自分庭に植える(たいてい枯れます)。
または、いっときの自分の楽しみ、所有欲のためにとる。
被害が甚大なのは、業者が販売目的でごそっと盗掘する、です。
この山の美しい花もたくさん盗掘されました。
その花は、共生菌とともに生き、森の土壌も作っていました。
その花がたくさん盗掘され、森の自然のバランスがくずれました。
今そこは、鹿よけの柵で守られ、中村さんほかボランティア活動のお陰で、風がぬける斜面(植物にとっての一等地の草原)には、多様な種の植物が混在するようになりました。
それぞれの花が咲く頃は見事だろうなぁと、想像できるほどの草原に復活した草原です。
かつて、ほんの10年ほど前は、バランスを崩したことで、テンニンソウの単一群落だったと聞いて驚きました。
わかりにくいかもしれませんが、多種の植物が混在する草原は、それほど多くはないのです。
数十年前の盗掘される前のバランスがとれた、その草原の写真は、花の時期は、それはそれは美しい光景です。
盗掘によって崩壊したシステムを保全する、三ツ峠の生態系を守る中村さんにお会いして、自分のこれからの自然への向き合い方がパッとみえたのです。
私は、これから自然の全体にまずは注視して見て行こう。
その自然の状態を知るために指標となる鳥や花や樹木などを、1つ1つ観察していこうと。
一度行ったくらいで、その場の生態系を知ることは無理だけど、そういう意識の元、現地のガイドやその場の人にそれをベースに話を聞いて見ようと。
意識をそこに、これからフォーカスします。
様々な地球環境を経験しました。ツアーで行ったところなので、限られたところですが、それでも全ての気候帯、寒帯から熱帯までの自然環境で生き物を観察してきました。
いろいろ経験するにつれ、全体をみたい、鳥や花の生きている動植物から、景色を作りだす地形・地質などの地学、そしてそれに関わる人間まで、何でも見えるもの、そして地中などの見えないものまで含めて全体感を得たいという欲求がむくむく湧いてきたのですが、それはとても異端でした。
ダメ出しされた感があり封印していました。
かつ、果てしもなく難しいことです。
でも、中村さんにお会いして、あぁ、いま自分が出来るところからすればいいなと、気付きました。
まずは意識をもって生態系を感じようと。新しい場所に行ったら、鳥を探す前に、まず全体を眺めようと。
そして、動植物に触れ合う機会が今までなく興味はあるけれどどうしていいかわからない人、自然の中に行って色々なものを見てみたい人、世界の自然豊かな色々な場所に行ってみたいけどどうしたらいいかわからない人へ、それを伝える人になりたい、そういう事をしたい方にそういう場が提供できる人になりたいと思いました。
そういう気持ちになれた、三ツ峠山荘の中村光吉さんとの出会いでした。感謝です。