今年のゴールデンウィークにネペンテス ラジャ(Nepenthes rajah)という植物の自生地、ボルネオ島(国はマレーシア)のキナバル山に行くことにした。
正確にはキナバル山ではない場所で、その植物に出会う予定だけど、その前にキナバル山(標高4,085m)を目指して、山の植物もできるだけ観察する予定。
ネペンテス ラジャとは
ネペンテス ラジャは、食虫植物の一種で、ツボ型の捕虫袋をもつウツボカズラの仲間。この呪文のような名前は学名のせい。学名とは世界共通の名前で、属名と種小名からなる。ネペンテスが属名、ラジャが種小名。
水差しみたいな形の捕虫袋は大きくて高さ30センチ前後はある。標高1,500m以上のボルネオ島サバ州のキナバル山と隣接する山でのみ自生している。常に湿った場所で、開けた草が茂った植生で育つ。
キナバル山
キナバル山は標高4,085mとボルネオ島ではもちろん、東アジアの最高峰の山。海外登山をする人に有名な山であり、山の鳥を見るにも最適で山麓はバードウォッチングでもよく訪れる場所。
ここを訪れれば熱帯低地林から山地林までの環境が見られ、生き物の多様性と垂直分布を実際に目の当たりにできる機会がある大変貴重な場所。この山の森林限界が3,500mで、山小屋のあるラバンラタ小屋が3,300mのところにあるので、山小屋の上200mは、シャクナゲやランなどのチャンスがあるはず。行ってみないとわからないけど。
動植物への想い
動植物に出会いたいと書くと違和感を感じる人がいるのは知っているけど、私はいつもそんな風に思ってるし、私にとって動植物は人と何ら変わらない。
わかりやすい意思疎通を取り合うという意味でのコミュニケーションは取れないけど、自生地を訪れれば、私は感じるものがたくさんあり、今まで運よく出会いたい動植物に出会ってきているから、受けいれてもらえて少なからず交信できている気でいる。
ボルネオ島とネペンテスと私
ボルネオ島にはネペンテスが多種自生しているが、ネペンテス ラジャの今わかっている自生地は、数少なく地震や何かでそこに行かれなくなってしまえば、もう出会うことはないのかと思ったら、信頼して案内していただけるチャンスがある今いかずして、いつ行くの? と思うに至り、とりあえず一人でも行くことに心を決め動き始めた。
まずは、山に登れる友人に声をかけ、そしてそんな貴重なチャンスを一人で行くのはもったいないと思い植物好きというかお仕事にしている人にダメもとで声をかけたら一緒に行けることになり、さらにもう一人すごいタイミングで連絡があった人と一緒に行けることになった。
あとは、少しだけでも余裕を持って山に登れるよう、出発までに体を作ろうと思い、今動いている。
*写真のウツボカズラは、ネペンテス ビーチー。私が初めて自生のウツボカズラをしっかり認識した種。木の幹に巻き付いて上がっていくという不思議なウツボカズラで、マリアウベイスン自然保護区で6時間ぐらい登山して行った場所で2018年に観察した。