アメリカのアウトドア製品の会社の名前で、知っている方が多い「パタゴニア」ですが、本当は地域の名前、総称です。南アメリカ大陸の南緯40度以南のエリアをさす言葉です。
細長い国のチリ、広大な国土のアルゼンチン(南米はブラジルが1番広い)の2カ国にパタゴニアは広がります。
ここは、山、空、湖、氷河など、ブルーやグレーの色が本当に美しい場所です。
チリ側のパタゴニア、パイネ国立公園に春に訪れると、こんな寒いところなのに様々な色の花々が咲き、思いのほか鳥や哺乳類もいて、空や湖は晴れさえすれば独特の青さで輝き、目を奪われます。青いものが好きな自分は、どこの景色も写真に撮りたくなりました。
冷涼で、年中強い風が吹くと言われ、「強い風」がパタゴニアの代名詞のように言われています。実際に風が強いことは多いです。風速40メートルは、わりに普通の風速です。5回しか行っていませんが、一度、風に飛ばされたことがありますし、大型バスが風で横転するという事故も現地滞在中に聞いて青くなったこともありました。ベテランの運転手さんは、どこが危険な場所かは知っていて、時々停まって風待ちし危険を回避しているようでしたが、それ以上に吹くこともあるでしょう。バスに乗っていても風を体で感じることがあるくらいですから。
しかし、風が吹かない時もあります。滅多にないのでしょうが、風が吹かないと、気温が上がり、一気に暑くなりました。そんな時に、ピューマに遭遇したことがあります。滅多にない幸運です。
異常気象は、珍しい出会いをもたらしてくれることもあります。雨も、雪も、ヒョウも、ほぼ同じ時期に訪れ、この地で経験しています。花の季節は短くて、春から夏にかけてはたった2週間程度しかありません。春といっても、太陽が出ないと日本の冬のように寒いです。しかし、景色は絶景です。この地には、マゼラン(マジェラニカmagellanica)や、南極(アンタークティカantarctica)の名前(和名、英名、学名共に)がつく動植物が多いのが特徴です。
パイネ国立公園に行く途中に、マゼランペンギンの繁殖地もあるのですが、近年は、野犬と近くにある石油コンビナートからの海水汚染等が原因で数が激減しています。2009年に行った時はたくさん見られたのに、一昨年は20羽位と少なく寂しい感じでした。しかし後で聞いたら、「居ただけラッキーだ。」とのこと。昨日は1羽しか居なかったという事実を聞き、昨日でなくてよかったと、正直思ったのでした。
野生動物は、いつも必ずいるわけではないので、仕方がないのですが、やっぱり来たからには、見ていただきたいなぁと強く思っています。