思いがけずニホンカモシカに遭遇した。
車に乗っていて、道路脇の斜面にカモシカがいた。
斜面にはネットがかかっていて、行きたい方向に行けず、
カモシカは網が切れるところまで、ゆっくり歩いていった。
車をバックして追い、降りて、観察撮影しはじめたが、
まったく逃げる気配はなく、じーっとこちらを見ていた。
見つけた時は、近距離で、300mmのレンズでは近すぎて、
そして、移動したいのが見てとれたので、スマホで撮影した。
カモシカは、移動している時も、こちらをチラチラと確認はしていたが、
ネットを超えてから、山の上に上がっていく段になって、
じーっと動かずにこちらを観察していた。
私も、じーっと見つめてるから、お互いに顔を見合わせる感じで、
ウシ科でこんなことをしたのは初めてだ。
アフリカ、タンザニアに行くとヌーがそれこそたくさんいて、
時々、近距離で観察する機会もたくさんあったが、
ヌーはまったくこちらを気にはせず、見つめてくれることはない。
無関心だ。人なんて見慣れてるし、気にもとめていないのは当たり前かもしれないが、
同じウシ科で、顔の感じ、雰囲気は似てるけど、まったく違う動きだった。
カモシカは、シカと名前にあるけど、ウシの仲間。
かつ、サファリで見るシカの様に見える動物、アンテロープは、すべてウシの仲間で、
アフリカにシカはいない。
カモシカは、一度も急ぐことなく何度もこちらを見つめていた。
樹の幹に顔をあげ、一度、首の辺りをこすった動きはしたが、
それ以外は、
斜面を少し上がっては、ふり返るをくり返し、
木の後ろに行ってしまったと思ったら、左側から顔を出し、
あ、また顔出してくれたと見ていたら、また動き、
次は、右側からも顔を出し、こちらを長いこと見ていた。
間違いなく、お互いに観察しあっていた。
なんだかとても可愛いらしく、野生の哺乳類とは思えなかった。
なんでも可愛いと言ってしまいがちで、気をつけようとは思っているが、
最近は何を見ても愛おしく、そのしぐさ、なんでもが可愛い。
その晩、初めて見た興奮を山荘のご主人、中村さんに話したら、
カモシカは、じーっと人を見るのが一般的とおそわる。
長いこと狩猟されることがなく、人に対して恐れが無いからではとも伺ったが、
狩猟圧の有無が、こんなにも出るのかと実感したのは初めて。
とても不思議な時で、
時刻は、13:04〜13:14の午後の10分間の出来事でした。
カモシカは、もっと高い山、深山にしかいないものと思っていて、
そういうところには行かないし、いつか会いたいけど無理だなと思っていて、
宮崎学さんの写真展を前の週に訪れて、
久々に、また、見たいんだよなぁ、でも見れそうなところに行く予定はないしなぁ、
とぼんやり思っていたら、翌週、遭遇。
哺乳類は、分布域であっても、簡単に観察できるわけでないという経験知が邪魔して、
情報を収集することもしていなかった。
標高1,200メートル程度のところで、出会えるとは思ってなかったが、
シカが、山に上がって生活する様になり、
カモシカが追いやられ、降りてきているとも教わった。
出会ったら、カモシカのこと、ほとんど何も知らないと気づき、
写真図鑑の本を注文した。
到着が楽しみだ。
撮影地 山梨県
撮影日 2021年10月11日