海鳥とは?
地表の71%は海で、地球上で圧倒的に広い。陸地で特に都市部で生活しているとほとんど海鳥に接することはないけど、海で生きる海鳥は沢山いる。
今回のフォークランド諸島、サウスジョージア島、南極半島の旅で出会える鳥は、主にこの海鳥。20日間以上も船に乗るんだから当然といえば当然。
毎日毎日同じ種の鳥が飛んでいると、いくら速く飛ばれてもよく見る種は違いに気づけるようになる。極地の鳥で元々種数が少ないのもあるが。
具体的にはクジラドリの尾羽の先の色が白か黒かは、最初は苦労したけど、次第に見えるようになった。
海鳥は大きくわけて2パターン
海鳥は、カモメのような沿岸からあまり離れない鳥と、外洋を大きく移動するアホウドリの様な鳥と大きく分けられる。
外洋性の海鳥
ミズナギドリ類やアホウドリ類は、大きな翼で、海の波で生じる上昇気流を利用し、広大な距離を滑空し、ほとんどエネルギーを使わずに飛び続けることを可能にし外洋での放浪生活を可能にしている。
風の強い時は風に流されているとも見えるが、スイースイーというより、ブーンブーンと力強く飛んでいて、むしろ風のない穏やかな日は、時おり羽ばたきながら、不器用に飛び続けているように見える。
特殊器官の塩類線
塩類線とよばれる嘴(くちばし)の側面にある器官(ぱっと見はゴツイ太い嘴に見える)で、過剰な塩分を排出し、優れた臭覚で波間に漂う獲物を見つける能力もある。海に生息するならば、塩分対応は生きものに必須。
オオフルマカモメの太い嘴
アイスランドで繁殖中のミズナギドリ類、キタフルマカモメを双眼鏡で間近に見た際にその太く独特な嘴に驚いたのを今でも覚えているが、
今回もオオフルマカモメやミナミオオフルマカモメのそれを間近に見て、独特の嘴と塩類線のフォルムにいかつい目つきと共にパワーを感じた。
アザラシの死骸に嘴を突き刺して食べて顔を真っ赤にしている様は、かなりのインパクト。
小さい海鳥
外洋性の鳥には大きな鳥だけでなく、ウミツバメ類という小さな種もいる。
アシナガウミツバメを例にすると、そのサイズ全長わずか20センチ弱、翼開長40センチ程度。
ゾデアックというゴムボート乗船時に偶然近くで目にしてもその小ささが際立った。
足をだらんとぶら下げて、海水面ギリギリを飛んでいて、まさに図鑑の写真のような姿を間近にした幸運だった。
知られない鳥
アシナガウミツバメは、船の上から見つけ観察・識別するのが、その小ささゆえに難しいが、実は数は途方もなく多く行動範囲も広い。
世界の海洋面積の3分の2以上を移動し、世界で最も個体数の多い種2,000万羽と推定されているが、
繁殖エリアが南米大陸最南端のフェゴ島から南極大陸にかけてという場所でしかもサイズはスズメくらいが故にほとんど目撃されないという特殊な鳥。
海面スレスレを飛びながら波間に浮かぶプランクトンなどの獲物を拾いあげるように採食する。
サイズも小さく、たくさんいるマダラフルマカモメやナンキョククジラドリとは違う飛び方で、飛んでいる場所も違う、色も白と黒のツートンカラー、数日見ていれば存在には気づけるようになるはず。
ペンギン
「南極といったらペンギン」思っている人も多いが、ペンギンといったら、優れた遊泳能力をもつ鳥。海で泳いでいるのを見るチャンスが多々ある。
海面からかなり体を出してジャンプするように飛びながら泳いで行くのを目の当たりにすると、見ることは無いが水中内でのハイスピードさが推測できる。
世界18種のペンギンのうち、今回の旅で最大8種に出会えるチャンスがある。最終的に予想通りコウテイペンギン以外に無事出会えた。
大きいサイズから順にコウテイ、オオサマ、ジェンツー、ヒゲ、マカロニ、アデリー、マゼラン、イワトビペンギン。
オオサマ、ジェンツー、マゼラン、イワトビペンギンは、フォークランド諸島とサウスジョージア島の大繁殖地を訪れ、南の大地の大繁殖地のすごさ、その景色、様子に驚きしかなかった。
3分の2の行程が終了してヒゲ、マカロニ、アデリーペンギンも見ることはできた。
わくわくな気づき
ザトウクジラを運良く超間近に観察できた際に、噴気するザトウクジラの周りをクジラドリの仲間が多数飛び回っていた。
もしかしてそれでクジラドリと和名をつけたのかしら? という気づきにワクワクした。
旅の終盤
いよいよ南極半島エリアに入ってきた。
このエリアらしく天気がよくない。曇天でガスって風も強く、低気圧発生場所らしい雰囲気が濃い。上陸できない日々が3日続いた。
このエリア、やはりというか、生きもの、鳥も少ない。やはり生活するには大変なエリアと来てみたらよくわかった。