西表島のサガリバナの守り人

昨年2022年に久しぶりに、以前よく行っていた川への早朝クルーズをお願いしてサガリバナを見に行った。

その時、ボートから眺めていてサガリバナの樹にツルが沢山からんでいるのに気づいた。

2021年もシーカヤックで見に行ったが、15年前ぐらいに見ていた花の勢いは全くなかった。ただ、以前と比べたら花の元気がないことはどこでもだし、サガリバナの開花のタイミングが合わなかっただけなんだとその時は考えたけど、それは違ってた。

サガリバナは1日花で、夜に花が開き朝に落ちる。前夜に咲かなければ、そして夜から朝にかけて雨が降れば花は早々に落ちてしまうから、朝に船で見に行っても川面に沢山花が浮いてるか否かは、咲いた量と天気と潮の関係によるので、なかなかいいタイミングに出会うことは少ないが、そもそも、木に花が少なくなったなぁと感じた。

そして、しばらく乗っていて「あなた前にも何度か来たでしょう?」と言われて、少しお話しした。それで、以前ほどの勢いを感じないことを正直に伝えたら「みんなお客さんは連れてくるけど、手入れはしないからね。」と、ボソッと言われ、もういい年になられたYさんがツタを刈ってサガリバナがきれいに咲くよう、以前は手入れを継続的にしていてくれたのを初めて知った。

船で来て、サガリバナに巻きつく伸び放題のツタを切って整えるなんて、どれだけ大変な作業なんだと、木は何本もあり、実際にどんな風に作業するんだ?、何度も来て少しずつされてたんだろうと思うと気が遠くなった。

それで、あんな美しいサガリバナを見せて頂いていたんだなぁと、初めて知った。知ることができて良かった。

大きな船が入るようになって、川が荒れてというのは聞いていたけど、それ以上に、蔦が巻きついてサガリバナを覆い尽くすほうが影響が大きいし、現状は両方の理由もあるんだろうけど。

「年齢的にその作業がキツくなってね」と言われていて、そうでしょうねと、若くても大変な作業だと思う。

その後、後を引き継ぐ人はいないんだろうことも理解。「きれいなのを見せたいからね」という気持ちがあっても、簡単にできることではない。Yさんに心から感謝する。

あの川のサガリバナはこの人のお陰で守られていたんだとわかったら、すっかりお年を召されたYさんに愛おしさを感じた。

植物は誰か1人が継続して手を入れ、自生地を守ることで、美しい状態であることが日本各地であったことを経験上知っている。

そんな場所がまた一つ消えるんだなぁと、寂しく思う。誰か引き継いで欲しいなぁと心から願うけど、Yさんの言う通り、お金にならないことは誰もしないだろうなぁと。

でも、植物はしたたかでたくましい。私が思ってる心配なんて無用で、また盛り返してくれることを願ってる。

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橋場みき子

生きものに出会うために自然の旅に出かけてその環境の動植物を観察してメンバーと気づきを共有し楽しむのがライフワークです。自然の旅はリクエストに応じてご案内もしますし、自分が行きたい場所、出会いたい生き物の情報がが入ってくれば、声をかけて二人でも、いなければ一人でも出かけます。今年は新しい情報、人との出会いが多く違う世界が見えてきました。同じような感性の方と出会いたい。そのためにはどうしたらいいのか?を最近よく考えています。

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