ボルネオ自然の旅 写真 2023年9月 No.3 ベンガルヤマネコな夜

この日の朝は車で目的地に着いたら、あとは歩いて道路から森のエッジ、切れ目にくる小鳥を探しました。

上を見上げて鳥を探す時間が長く、途中、クロアカヤイロチョウの鳴き声が聞こえて粘ったけど、出会うことは叶わず。

花の蜜を吸うタイヨウチョウやハナドリ、クモカリドリの仲間の動きの早い鳥にもてあそばれ、双眼鏡でも落ち着いて観察できなかったし、まして写真は全然撮れなかった。

撮れなかったことを嘆いているわけでなく、写真で説明しようとブログを書き出して、3日目にして全然撮れていないと、何も見れていないように一見なるけども、実際はそんなことないので、今回は文字多めです。

でも、よく見えた! という実感がすごく得られることが難しい時間が続いたのは間違いはなく、その中で朝のヒットは、ガマヒロハシ。

20m以上はある高いところに出現して、観察するのが大変だったけど、しばらくじっと姿を見せてくれ、すぐに消えずに落ち着いてて、鳴き声も堪能させてもらった。感謝。

ガマヒロハシはヒロハシの仲間で、ボルネオ島で観察できる最大の種。体長27センチ位の大きさ。地味だけど、地味かわいいカラーリングと模様なんだけども、この写真じゃその魅力は何も伝えられない。

体長2センチ弱はあったアリ。歩いていると植物や虫にも目が届きやすい。

精霊が宿る木とされて伐採を免れたメンガリスの樹。

朝の探鳥の帰り道、ハチクマ3羽が上空を旋回した。

そして、夕方。

前夜ネコ科の動物が出なかったので、予定を変更して出発。日没までの時間で樹上の生きものを探し、折り返して、復路は夜行性の動物を道路や木の上に探す。

まずは安定してよく出会えるキタカササギサイチョウ。はじめはクリアなところに出ていたが、そのうち2羽で頭を下に下げて、不思議な行動をしていた。しばらく見ていたけど、遊んでいるかのようにしか見えず。

アブラヤシの木でも営巣できるこのサイチョウは繁殖力が強く、数をどんどん増やしているというだけあって、よく観察できるけども、そんなことをしていたのは彼らだけだった。

クリームオオリスという名前の通り大きなリス、ムササビサイズのリスも木の上で、頭を下にして変なポーズでいた。ぱっと見、どんな格好でいるのかもよくわからなかったが、下にあった何かを見ていたのか、頭を下げたい理由があったのか。樹上生活者とはいえ、怖くはないのだろうかと思った。

ボルネオゾウが突然、道の横の茂みにいることに気づき、一瞬、サファリカーの上は静かに騒然となった。一気に体温がブワッと上がった。

皆でゾウの体の一部分だけをそれぞれ見たのを、ゾウが過ぎ去ったあと、報告しあって興奮した。

私は、ガイドが騒いだほんの少し前、いやほぼ同じタイミングで、草が倒される音がしてるのに気づいて、「あの音はサル?」と確認したくて声をかけようとしたその瞬間、

「ゾウだ!」とガイドが一声をあげた。

草の隙間から背中の一部が私は見えた。ゾウはよく見ているので、皮膚の感じに間違いはないが、本当に一瞬の出来事で、あっという間にゾウは視界から消えた。音もすぐにしなくなった。

昨日、皆が探していたゾウだろうとガイドが言う。ドライバーからは高さの問題で全く見えず、今、ゾウがいたよと話したら、信じれらないという様子で目を丸くしていた。

後から聞いたら、ゾウは、年に1、2回しか出ないそうで、群れでやってきたときは、好きな草を食べ尽くすまでしばらく公園内に留まることがあるので毎日見られるけど、そんなことはほとんどないという。数年に一度あるかないかみたいなことを言ってた。

確かに、ガイドが最も興奮していた。「写真撮ったか?」と聞かれたけど、そんな見るだけでもギリギリだった一瞬の間に撮れるわけもなく「不可能だよ」と言ったら、他のガイドに見せられる証拠が欲しかったようで、鳥だけでなく、哺乳類も写真がないと信頼される情報とされないというのは辛い。

その場にいた全員が見られて幸運だった。観察に集中せず、ぼーっとして反対側を見ていたらアウトだったくらいの時間の短さだったから。サファリ中に風を受けて、頭を空っぽにしているのも気持ちがいいので悪くはないのだが、こういう時に同じ車に一緒にいて見逃すと人によってはショックが大きいし、全員で興奮が共有できるのはありがたい。

「これが自然だよね。」というコメントが後からあったが、あのほんの短い時間にゾウに遭遇したことを忘れないだろうと思う。野生動物との出会いらしい出会いだった。

ミズオオトカゲも、木の上でよく寝ている。

保護区とアブラヤシの農園は道路を隔てて隣接していて、夜になると農園のネズミを捕りにシベットやヤマネコが移動する。

アブラヤシの葉の中にこんな風に鳥がとまっていたりもする。ガイドは見慣れているとはいえ、よく見えるなぁと思う。ウォーレスクマタカはこちらで最もよく目にする猛禽。

まだ明るいけど、もう暗いそんな時間。タイガーシベット道路に出ていた。タイガーという名の由来か、縞模様があるのだが、三角形で独特な模様が面白い。遠すぎて写真は撮らなかったけど、この時はその独特な縞模様がよく確認できた。草越しに見るか、見つけたらすぐ草に入ってしまうので、縞模様をしっかり見るのは難しい。

そして、日の落ちる前、車を停めて待っていたらガイドの言う通り、オオアカムササビが、長距離を飛んだ。美しいシーンだった。これはiPhoneで動画が撮れた。ムササビは点でしか見えないけど、その軌跡が美しい。

ムササビの動画 ←YouTubeに飛びます

目的地まできて、日が完全に落ちるのを待った。光の美しいマジックアワーの時間もいいが、この昼から夜に変わる時間に、フィールドにいるのはとてもいい。夜の生き物たちの気配が段々濃くなっていくようなそんな時間だ。個人的に大好きで、わくわくがとまらない。

日没後、チャイロアオバズクがやってきて、目が赤く光っていた。オートだとボケボケの写真しか撮れずマニュアルで対応しようとしたけど間に合わなかった。頭の上をかすめて飛んで行って。でも目の前から声はまだ聞こえていて? ?が頭に飛んだが、2羽いたのに気づいてなかっただけだった。ピントはまるであっていないけど、夜の空気感が映っているような気がしたので、載せてみた。

18時44分 来た道を引き返し、帰り道、ベンガルヤマネコを3頭、観察した。

真剣に探したからといって出現するわけではないけど、幸運にも3回も出会えた。

草のあまりない場所に、クリアに一度出てきてくれたが、自分の席の逆側に出現したので無理して写真を撮るのはやめた。

大きく動いて、逃げられるより、ゆっくり見ていたかったから。後から、写真撮ればよかったかなと少しは思ったけど。

ネコが自分から動いて草むらに入っていくまで、静かに長く観察できた。ネコは騒がなければ、一瞬、動きが止まる。

お互いに見つめ合う時間がある。そして静かに去っていく。

ベンガルヤマネコが去った後、ボルネオゾウの観察の後のようにサファリカーの場の熱が一気に上がって、皆が興奮して話すのを聞いているのが嬉しかった。

無事に、ベンガルヤマネコが出てきてくれて、私とガイドはホッとした。

ボルネオ島の中で、最もベンガルヤマネコが見やすい公園で見逃してしまうのは、正直なところ辛い。

自然相手だけど、見たいと思って来ていただいたから、ぜひ見ていただきたいし、見せたいと身勝手ながらも思ってしまう。

なので、出て来てくれて本当にありがとうと感謝の気持ちでいっぱい。

また会える日を楽しみにしているよ。今度は、写真を撮らせてね。

メッセージ

世界のフィールドを歩き生きてきた私は、移動して自分の知らない世界とつながり、自然や生きもののエネルギーでパワーチャージをしています。クリアな自然の中に身をおき、動植物を感じようとすることは、自分のコアな部分につながり、瞑想しているような落ち着いた時間を過ごすことができます。私とそんな時間を共有してみませんか。

この記事を書いた人

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橋場みき子

生きものと世界の大自然、旅や愛爬ヒョウモントカゲモドキ、ときどき娘のことなど書いています。動植物大好き、自然の旅案内人として、知人・友人に案内しています。2020年3月まで世界の動植物に会いに行く旅を手配・案内する生活をつづけて20年以上、1年に地球5周を移動するような生活でしたが激変。2021年9月私は生きものとのつなぎ人と自覚し復活。鎮まりながら多動し、今日も生きています。

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