タンザニアの旅が始まった。
久しぶりにバリバリの鳥やさんのお客様と接して、ドキドキしている。
久々の感触で、鳥の話をして空港での待ち時間が楽しかった。
タンザニアへは2007年から、ほぼ毎年のようにこの時期に通っている。
9月の乾季にも来た年もあり、もっとも繰り返し来て、縁が深い場所。
帰ってきた感がある。
ふるさとと言うのは大げさだが、私の原点だと感じている。
世界中の動物との出会いの旅を作りたいと、仕事にのめり込めるようになったのも、タンザニアとの出会いがきっかけだ。
いわゆるバードガイドがいないので、自分で頑張るしかなく、途方に暮れながらも、写真と図鑑数冊を見比べて識別を頑張ったのが、結果的にいい練習となった。
普段行動を共にするバードガイドのようにはなれないが、鳥にはまり、鳥の楽しみを伝えることは出来るようになれた。
識別のために10年前からはじめた撮影も徐々に楽しくなって、ここ数年は、もっとよく撮りたいと思うようにもなった。
そんな気持ちになるなんて嘘みたいだ。
撮影をはじめたのは植物写真が先だが、それでカメラの事を知ることになった。
鳥を撮影するようにもなり、撮影する人の気持ちがわかり、鳥との距離感の説明や、現地で撮らない人への撮る楽しみの説明が出来るようにもなった。
カメラを手に取らなかったら出来なかったことだろう。
撮らない人の気持ちもわかるので、両者のバランスを図ることにも役立った。
タンザニアに来るようになって、自然全体のつながりを、肌で感じられるようになった。
虫がたくさんいて、それを食べる鳥が多数いる。
そして、小鳥や小動物を食べる猛禽が多数いる。
草を食べる草食動物がたくさんいて、決して数は多くないがタンザニアでは割に普通に見る大型肉食動物がハンティングしてそれを食べる。
その食べ残しを小型の肉食動物やハゲワシやハゲコウが食べ尽くす。
食物連鎖が、ほぼ全部見えるのだ。
そんな場所はまれだ。
理屈ではなく、それが実際に見えるから、より感じることが出来るようになったと思う。
自然学習だ。
他の場所でも、その繋がりが以前より見えるよう、感じるようになって、以前よりも目の前の自然から情報を得やすくなり楽しくなった。
ンゴロンゴロ自然保護区とセレンゲティ国立公園の間に大地溝帯の断層が見える場所があり、毎年見ていたら、地質や地形に興味が持てるようになった。
人類発祥の地、オルドバイ渓谷も行き、人類が生まれて世界中に広がっていった歴史、グレートジャーニーに興味が出来た。
アフリカ大陸、それぞれの国にも興味ができた。
西アフリカに探鳥に行きたいと夢もできた。
植民地だった国というのは、どういう感じなのかも知ることができた。
水場の位置の重要性や、水汲みの重労働さも見て知った。
いろんなことを、タンザニアで学んだ。
人との交渉の仕方もこの国でかなり練習した。
心の中で、半泣きしながらも、仕事だからと最善の策と自分が思えるところまで、ふんばった。
お陰で、チキンだった心は見違えるほどタフになった。
かつ、細かいことは気にしないことにできるスイッチも手に入れた。
だからタンザニアが好きなんだと思う。
動植物が好きなだけが、この国の好きな理由ではない。
だから、たくさんの人に、この国のことを伝えたいんだろうと。
二カ月に一度イベントを開催している。
メッセンジャー、伝道師、なんでもいいが、この国の自然の美しさ、たくましさ、私が見てきて受け取ったこと何でも伝えたい。
またタンザニアに来れたことに感謝している。