来週からまた、タンザニアへ出発します。2007年11月末に初めて行ったのが最初で、今回がツアーとしては10回目、現地滞在日数はざっくり数えて80日位、毎回一般サファリツアーと違ってひたすらサファリをして、鳥や哺乳類をずっと探して、撮影しているので、密度が濃い時間を過ごしています。鳥は200種前後、哺乳類40種前後を平均して見ています。
初めてタンザニアに行くときに、ボスからアドバイスがありました。「植民地文化だから、上と下、主従の関係性が難しいよ」と。
なんのこっちゃ???と思いましたが、言われたことが理解できなさすぎて、質問もできませんでした。
私は留学経験はなく、すでに何度も渡航したマレーシアなどの多民族国家の感じが感覚的に少しあるくらいでしたので、植民地文化=過去に植民地になった国、というレベルの認識のまま出発しました。
そして、現地で何を言っているのわかる事件が起こりました。
サファリカーはドライバー&ガイドが運転しながら、あそこにライオンがいるとか教えてくれます。
この人たちに命を握られながら、サファリをしていることになります。なぜなら、例えばセレンゲティ国立公園の面積はおよそ13,500㎢、東京・千葉・神奈川・埼玉を合わせた位の広大な場所に、肉食の大型哺乳類をトップに生活しているので、一度公園にはいってしまうとむやみに降りられません。車から出られるのは、数カ所のピクニックサイトだけです。
途中の道に、道標はほとんどなく、果てしなく広く続く草原という名にふさわしい、広い広い公園です。
ここで、ひとたび事故が起きたら、自力で帰れないよなと、いつも内心思っています。ドライバーガイドに万が一があったら、帰れない。車の事故で車外に出されたら、最悪食べられるかも。生きたまま食べられたくない、獲物の取り合いの対象物になりたくない、ハゲワシにつつかれたくない等、、実際にその場で別の動物に起こっていることを自分に置き換えるだけなので、容易にそしてリアルに想像がつきます。
なので、ドライバーガイドは、とても大事な人です。ツアー中を通して、命を預けている大事な人なんです。空港で合流し、空港で別れるまでずっと同じ人が対応してくれます。そして、その人の動物を探し出す能力、目と勘と運と、いままでの経験値を結集してこの状況(時間帯、天気、参加者の見たいもの)ならどこにいくのが一番確率の高い場所かを考えて連れて行ってくれています。
これらのことをしてくれるドライバーガイドと信頼関係を気づくのに、時間がかかりました。初めての頃は、自分のサファリの経験値がないがために、たくさんの無理なことを言ってしまったり、スケジューリングがうまくできずに彼らの休憩時間が取れなかったりと色々してしまいました。
そんな時に、「早朝サファリもした。そして午前のサファリもした。」「でも、お前はまだ夕方のサファリも望むのか?」と言われたりしました。絶対に、できないとは彼らは言いません。これが植民地文化の中で生まれた主従関係なんだと私は認識しました。
この手の話をするときは、大抵怖いです。相手も多少ドキドキしていたのでしょう、顔がいかついです。そして、決して人種差別ではないと言い切りますが、慣れていないがゆえに、黒人の人が単純に恐れがありました。アジア人には感じない感じです。
自分の性、女性を特に認識しないで過ごしていますが、かなり怖がりで、自分が自分より大きい人(自分170㎝)が怖い、さらに夫より大きい人(187㎝以上)はもっと怖い、本能的に恐れを感じると気づいてから、立って交渉することにしました。
また、目を見ながら話すけど、ずっと直視しながら話すのは辛いしキツイ。しかも日本語のように自由には話せない言葉でです。恥ずかしながら、この仕事20年ですが自由に英語は話せません。なので、サングラスをして話す。外で立ったまま話す、間が持つように座って落ち着いて話さないというのが、英語でやや無理なお願いをしつつも、関係性を良好に保つ、私の交渉時のテクニックです。
でも、今では、タフな交渉が必要なく、スムーズにツアー運営ができますし、お互いに信頼関係も築き、とても信頼できる大事なガイドのひとりとまでなりました。雨降って地固まるです。
信頼できる人に人種は関係なく、同じことが大事だと思えるか、そういうバイブルが同じかどうかが、信頼できるかどうかなんだと最近気づきました。
話は飛びますが、東アフリカ・ケニア、タンザニアへ行く際のツアー会社、ドライバーガイドの選択は、一番大事な安全、そしてアフリカに行く目的である最重要事項の何が見られるかを大きく左右します。
ガイド選びは慎重に!
鳥が見たいなら特に慎重な選択をおすすめします。
タンザニアは、最も鳥や大型哺乳類が、簡単にたくさん、そして安全に見られる場所です。一度は東アフリカへぜひ!
情勢的に安定しているタンザニアにいらしてください!
動物園でみる動物たちが、本当に生きてそこにいますよ。