前職でとてもお世話になった、いがりさんの書籍。
今年1月に表参道で写真展が開催され、
訪れた時に購入しました。
いがりさんとは、たくさんのツアーで同行させていただき、
被写体をさがすさま、
写真を撮る様子、
そして、ファインダーを覗かせていただいたり、
様々なことを教わりました。
植物観察・撮影の旅は、
植物がどこで咲いているかの情報は、
植物写真家の方からいただき、
それを1泊2日や、2泊3日だったりの
旅の形に仕立て上げていくことを自分たちがしていたわけですが、
いがりさん、
他の先生方にくらべ、年齢的に若く、
行動範囲が広かったので、
長距離移動が多く、
九州、四国などを縦断する旅、
聞いたことないような離島へいく旅、
チャレンジグなコース、
と前例がなく、
かなり頭を悩ませて、
目的地をつないだ事も多々あり、
思い出深いツアーがいくつもあります。
そんな、ツアーの中で、
いがりさんが、
折々に教えてくださった、
植物写真を撮るためのテクニックがつまった書籍です。
植物写真を撮ってみたいと考えている方にはおすすめの1冊ですし、
すでに植物写真を撮影している方なら、
復習がてらページをめくれば、
新しいことの発見がある一冊になると思います。
はじめにを読んで
“「写真家」と肩書をつけてはいるものの、どちらかと言えば、それはビジネス上の方便で、実は最新の撮影機材やカメラの操作よりも、自然を知るということのほうに強い興味があります。(中略)どうして人は花の美しさに心を動かされるのか。木の葉が赤くなるとなぜ心を締めつけられるのか。カメラはそんなことをかんがえるための道具のひとつなのです。”
と、書かれています。
あぁ、だからいがりさんは、植物へのまなざしが、対応が優しいんだなぁと、納得。
仕事上、植物の見方が人によって全然違うことを感じていました。
違和感を感じるような方、
優しくない方も拝見してきたのですが、
いがりさんはいつも安心できました。
そんないがりさんが書いた撮影のテクニックだから、おすすめなのです。
第4章 野の花写真スタイル講座
この章は、実際に撮り方を説明している章ですが、
その一つ一つのネーミングに時々クスっと笑える
面白いタイトルがあり、
読んでいて楽しいです。
私は、style04の「仰げば美しホワイトアウト」が好きです。
また、style05の「お花畑カーペット」は、
植物写真を撮っていると、
必ず悩む、いちめんの花畑を前にした時にどうやって撮ったらいいのかに
答えてくれているページです。
今年の春も、
いちめんカタクリを前にして、
たじろぎました。
読めば既に教わっていることですが、
定着できていないなぁと、改めて実感。
来春は、復習してから出かけようと思います。
第5章 野の花四季折々撮影ガイド
この章を見ていると、
植物写真を猛烈に撮りたくなるでしょう。
春夏秋冬とそれぞれ、
その季節の特徴ある場所で、
撮影したくなる花が、
たくさんでてきます。
春のふきのとう、スミレの仲間
夏の海岸植物に高山植物、
秋のセンブリとリンドウの仲間と木の実、
冬の雪の中で撮る植物など。
まずは、秋に霜に打たれる植物を真似して撮りに行ってみようかと思いました。
第6章 野の花写真撮影のためのヒントとテクニック
この章は、かなり実践的な話ばかり。
個人的に、
写真現像のためのヒントとテクニック、
印刷のためのヒントとテクニックを参考にしたいです。
他は旅に同行した際に、
見て聞いて、覚えましたが、
フィールドでの撮影経験が少ない方には、
どれも役に立つ情報で、参考になります。
写真を撮ることで自然を知ることが深まる
写真を撮ることで、
初めて見えたり、
気づいたりすることがたくさんあります。
眼で一度見ただけでは見落としてしまうこと、
気づかないことはたくさんあって、
そういうものを写して、
教えてくれるカメラ、写真は、
偉大だ道具だと私も考えます。
いがりさんは、
植物写真家の中で、
いち早くデジタルカメラを導入され、
銀塩と合わせて撮影されていました。
デジタルカメラには絶対手を出さない!と言っていた方も、
いらっしゃいました。
でも、時代は動き、
デジタルの世界になりました。
賛否両論いろいろあり、
どちらかと言うと否定的な声が多かった時代に、
いちはやく手を出され、
試行錯誤されていたいがりさん。
すごいなぁと。
新しいものへのチャレンジ、
私も続けていきたいです。