たとえば、成田空港で集合・出発したら、成田空港にもどり解散するまでが、定義的にはツアーの始まりと終わりです。
でも、心情的には、訪問国でのフィールドでのすべての観察が終わると、いったん終了モードに入ります。これは、参加者の皆さんもそうです。物理的に観察道具を片付ける必要があるからです。具体的には、双眼鏡やカメラをしまうのです。大型の望遠カメラを複数お持ちになる方だとそれなりに時間はかかります。
自分はオリンパスのOM-D E-M1 MarkⅡと、ボディを予備用にもう一つ、レンズはM.ZUIKO DIGITAL ED 300mmと12-40㎜、をさっと掃除して、機内に持ち込むザックにしまいます。
このほかに、観察道具の望遠鏡(星をみるのに使う天体望遠鏡をイメージしてください)と双眼鏡があるので、片付けるものが多いのです。
この作業をしていると、余裕があれば、あぁ終わったなという気に、いったんなります。
訪れる国が、およそ乗り継ぎ(=2回飛行機に乗る)が必要な場所がほとんどなので、日本までに時間がたっぷりあります。
疲れて眠たかったら、真っ先に休みますが、ひと眠りしてスッキリすると、仕事モードに入ります。ツアーの振り返りタイムをするのに、機内は最適な場所だからです。
次回のツアーを、より体力的に楽に、スムーズに、そして効率的に観察できるようにするにはどうするのがベストか。宿は、スケジュールは今回のままでよいか、変更する? 日程をのばす? など改善が必要かどうかを。落ち着いて考えます。
この思考の整理を、機内でやるのはとてもいいのです。やや暗い機内はめちゃくちゃ集中できるのです。
毎回、自然観察は、状況が違うので、最善を尽くしたつもりでも、最善にならないことがよくあります。参加者の方の評価も大事ですし、結果もそうですが、自分なりに納得できたかどうかもすごく重要です。
フィードバックを機内で終わらせ、ついでに、提出書類も終わらせます。この書類作成は行動記録や宿の評価などですが、結構ボリュームがあります。およそ、ツアー中に毎朝、前日の分を書いていくのですが、体力的にきつくなってくると、朝にできなくて、ドンドンたまります。ツアー日数が長いとそれだけで辛くなります。
機内で作業していると、面倒になってくるのですが、日本に帰ってからでは、やる時間がみつからないので、機内で極力終わらせます。
次に、撮影した写真の整理をはじめます。
鳥や、動物や花を、いいものだけ選択し、動植物名の名前を一つずつ各ファイルに入れます。
ツアー直後は覚えている鳥の名前や動物の名前も、すぐに忘れるからです。もって2週間が限度で、あっという間にスムーズに出てこなくなります。英語名はなおさらすぐに忘れます。だからこの作業こそ、先に終わらせるべき仕事ですが、こちらの方が、比較して楽しい作業なので、これを後にしています。
しかも、2016年9月から今年の2月にかけて、
アフリカ・タンザニア
↓
南米・アルゼンチン
↓
アフリカ・マダガスカル
↓
南アフリカ
↓
東南アジア・ブルネイ
↓
中南米・コスタリカ
↓
アフリカ・タンザニア
大陸を行ったり来たりすることが多く、生き物が全然違うのはわかっているのですが、頭が相当混乱しました。
だから、機内で終わらせるのが重要、というか終わらせないと、自分が大変!というのが真実です。
撮影した写真を見ているだけなら楽しいですが、1.生き物が一番よく撮れている写真を選択する、2.名前を入れる、3.わからなかったら名前を調べて入れる をひたすら繰り返す作業なので、これもだんだん辛くなります。いえ、相当辛くなってきます。
最近は、それほど撮らなくなりましたが、数年前までは、例えば、タンザニアに行くと1日500枚、多いと800枚くらいの撮影枚数がありました。(タンザニアが最も多い国と推定。なぜなら車からのサファリで常に車に乗りながら撮影しているので)最近は数えていないですが、半分から7割程度の撮影枚数ではないかと思います。鳥は飛ぶし、動物は動くし、狙って撮影しますが、ここぞというときは結構撮影しています。
そんな時は、行きの機内で見て気に入った映画を流つけながら、順々と作業を進めていきます。やるしかないので。これで終わるととてもハッピーな気分になるのですが、7,8割方しか終わらないので、残りは帰国後、通勤電車の中での作業となります。
こうして選択した写真は、参加者の方へ、旅の記念にとCDに写真を入れてお送りしています。とても喜んでいただけるので、正直とっても大変なのですが、写真に名前を入れると自分も名前を覚えるので、自分のためにも頑張ろうという気になり続けてきました。
次のツアーの企画を考え、紙におとします。ツアーの企画はおよそ半年先、一年先、新企画だとさらに先のことまで、ガイドと会った時に話しながら情報収集して立てていきます。
ツアー中にごはんを食べながら、観察中にどの程度、体力的にきついかなど共通の経験をベースにして話すことで間違いが少なく、かつスムーズな情報収集を可能にします。
図鑑を見ればわかることは、帰国後に調べればいいのです。ご案内する参加者の皆さんが体力的にそれほどきつくなく、安全に過ごしながら、その国で自然観察を楽しめるかどうかが、私が一番気にかけているポイントです。
というわけで、ツアーは終わるけど、次の企画をすぐに考えているので、エンドレスなのです。
という質問を受けて、書きだしたら長くなりました。帰国直後は、想像しやすいとおり、持って行った荷物の片づけ、お洗濯、自分が不在時の自宅の片づけ。
出社したら携行金の精算、不在時にたまった仕事の片づけ、そして月間ニュースの次号の記事作成と、翌々月の号のニュース構成を考える、次の新カタログの企画・作成、翌月、翌々月のツアー手配、そしてその先のツアーへのお誘い営業電話など、膨大な量の作業に追われていました。
どんなに時差があろうと、拘束時間が長かろうと、ツアー中の方が、食生活も規則正しいし、通勤もなく、まだ寝る時間が確保され、健康的な一日をすごせました。自然の中にいられるので、気持ちがいいのももちろんあります。
そんな、常に追われる生活をすごしていました。
★写真は、ブラジル・パンタナールで撮影したものです