カエル天国な沖縄
日本に50種いるカエルのうち、
沖縄には22種もいる、実に4割以上。
ウフギー自然館(やんばるエリアの環境省の野生生物保護センター)にそんなことが書いてあったのを思い出し調べたが、
沖縄県の面積は、日本全土のうち0.6%にしかすぎないからすごい比率。
本土との共通種
本土との共通種は、2種のみ。
ヌマガエルとウシガエルの2種しかいない。
ヌマガエルは、沖縄諸島までで、
宮古列島と八重山諸島を含む先島諸島には、サキシマヌマガエルが分布。
やんばるだけの固有種
沖縄本島の北部・やんばるのみの固有は3種で、
ハナサキガエル、
オキナワイシカワガエル、
ナミエガエル。
ハナサキガエル
フィールドで観察していると、
バンバン目の前をはげしくジャンプして飛んでいくカエルで、
ときどき、止まってくれる個体を観察・撮影できる。
多数見かけるので、ありがたみが薄れるが、やんばる固有種。
どのくらい多いかというと、11月下旬に、2晩で100匹以上は見たと思う。
で、そのうち、背中が青みがかっていた色素変異の個体がいたのを後で写真を見ていて気づいた。
数%の率で変異が出るのか、見た場所がたまたま変異の多い場所だったのか、
確かなことは全く不明だが、ハナサキガエルだと途中からさらっと流していたが、
やはり観察するなら見るだけはちゃんと確認したらよかったと少し後悔した。
色素変異の個体をフィールドで見るのが初めてで、全身が青くなるだけの個体じゃないカエルもいると初めて知った。
オキナワイシカワガエル
もともと奄美大島と沖縄本島にいたイシカワガエルが同種とされていたが、
2011年にアマミイシカワガエルとオキナワイシカワガエルに分かれた。
オキナワイシカワガエルは、見たくてたまらなかった種で、出会えて感動した種。
森に棲むカエルで、冬12月〜3月にかけて繁殖。このカエルのお陰で、冬に活動が活発になるカエルがいると初めて認識できた。
11月下旬に訪れて、鳴き声を昼間から聞いたり、夜に1匹と出会えたが、
また近いうちに何度も出会いたいし、
かなり大きくなり、ちょっと気持ち悪くも見えると言われる程の大きな成体にも、ぜひいつか会いたい。
ナミエガエル
愛おしさをこめて「おでぶちゃん」と思ってる沖縄のカエル2種が、
ホルストガエルとナミエガエル。
どちらも大型で、重そうなでぶっとしてる印象のカエル。
実際、ジャンプした時も重量感がある。
で、どっちがどっちだか名前を混同して、わからなくなる2種でもある。
ナミエガエルは、赤いダイヤ。
夜間観察する時にライトで照らすと、
瞳孔が収縮して、赤いダイヤ型になるので特徴的。
水辺が好きな大型のカエルで、
初めて見たときは、水辺で見てる間に虫を食べたのに、噛まれたのかフリーズして、虫がしばらはみ出たまま動かなかった。
頭がアンバランスに大きく、あしが短く、赤いダイヤの持ち主が、ナミエガエル。
ほかに、似た感じの大きいカエルは、奄美大島と加計呂麻島にしかいない、オットンガエル。
ホルストガエル
フィールドで観察していて、
やんばるで数回しか見たことがなかったので、
てっきりホルストガエルもやんばる固有種だと思っていたが、
渡嘉敷島にも分布する、やんばると渡嘉敷島の固有種。
ナミエガエルほど、頭が大きくはないが、大型のカエル。
ジャンプした時の重量感は似てる。
食用だった大型カエル3種
1950年代までは「ワクビチ」という方言で、
やんばるで採集される大型のカエル、
ナミエガエル、ホルストガエル、オキナワイシカワガエルの3種は那覇の市場で売られて、
食べられていたと「沖縄のカエル」で読みました。
肉が柔らかくて美味なのは、
中国で知らずに美味しくてカエルをたくさん食べたことがあるので納得ですし、
食べでのあるサイズの3種は、貴重なタンパク源として重宝されたはず。
リュウキュウアカガエル
冬の12月上旬に集団繁殖するカエルで、そんな時にはヒメハブも現れ、と
つい先日、Facebookにそんな写真が上がっていた。
カエルっぽいカエルの印象で、
とくに珍しい種と思っていなかったら、
実は、やんばると久米島の固有種でした。
以前は、奄美大島と徳之島の個体群も、リュウキュウアカガエルとされていたが、
そちらは、アマミアカガエルになったとのこと。
集団での産卵、写真で見てもすごいので、いつかはリアルに見たい。
沖縄本島は12種 在来10種と外来2種
沖縄本島には、在来種のカエルが10種。
リュウキュウアカガエル、ヌマガエル、ナミエガエル、オキナワイシカワガエル、ハナサキガエル、ホルストガエル、オキナワアオガエル、リュウキュウカジカガエル、ハロウェルアマガエル、ヒメアマガエル。
外来種が2種。
ウシガエル、シロアゴガエル。
やんばるの日本固有5種
ざっくりいうと、そこだけにしかいない種を固有種というが、
「やんばると久米島に固有」という言い方に、はじめ違和感をもった。
でも、世界的に見たら、やんばると久米島は日本だからわける必要がなく、
日本にしか分布しない動植物の種を「日本固有種」といい、
やんばるにいるカエルの日本固有種は、以下の5種といえる。
リュウキュウアカガエル、ホルストガエル、オキナワイシカワガエル、ナミエガエル、ハナサキガエル。
さいごに
上記は、2021年現在の分類に基づいて書きました。
西表島のカエルについて発表する機会があって、
図鑑を集中して読んでいたところ、
沖縄のカエルと、やんばるのカエル、
のくくりで気になってきました。
数字はすぐに忘れるので、
備忘録として書き連ねました。
言葉に違和感を感じたときは、何に引っかかったのかを大事にすると気づきがありますね。