沖縄県、八重山諸島の西表(いりおもて)島は、日本の宝です。
日本にあって、でもおよそ日本らしくない、自然あふれる島です。
気候区分は亜熱帯にあたり、川を船ですすめば、目の前に広がるマングローブで構成された景色は特異的で、
「ジャングルみたい」という声はよく耳にしますし、行ったことのある人なら東南アジアの雰囲気を感じるでしょう。
イリオモテヤマネコというこの島にしか生息しない固有のネコ科の動物、肉食の動物が生きていけるほどの豊かな動物が生息しています。
オオコウモリ、鳥、カエル、トカゲ、テナガエビや昆虫など、さまざまなものを食べているというイリオモテヤマネコの適応性もありますが、
島の面積は300㎢もない、東京23区の半分くらいという限られた島の中でイリオモテヤマネコが生き続けてきたことは、
世界的に大変まれなことで、西表島の豊かな自然、生きものが生息していることを物語っています。
海水と川の水が、潮の満ち引きのために混ざる汽水(きすい)域とよばれるエリアに広がる植物、マングローブもたくさんの生きものを育んでいます。
潮の引いた干潟では、片方だけハサミの大きいシオマネキをはじめ、多種多数のカニがそこで生活し、引いている時はその姿を多数見ることができます。
ピョンピョン飛ぶ姿が可愛い、ミナミトビハゼというムツゴロウみたいな生きものもいます。
沖縄で一番長い川、浦内(うらうち)川は、日本で1番の魚種数をほこる、豊かな川でもあります。
ここだけにしかいない固有種も多く、かつ絶滅が心配される種が多く、又さらに日本一新種の魚が多いという川です。
これは、川が豊かな証拠です。豊かなというのは、さまざまな魚が生きていけるような、多種多様なすぐれた環境が健在であることを意味しています。
西表島の自然、生きものについて伝えたいことは多数ありますが、細かいところを書き始める前にこの島のすごさを伝えたくて、
イリオモテヤマネコ、マングローブ、浦内川という3点から、西表島を紹介しました。