旅は5日目、折り返し地点。慣れてきた頃でもあるし、疲れも出てきて心情的なトラブル⁈ が勃発しやすい頃。
熱帯雨林の森での自然観察は難しい。樹高が30m位あるとそこに生活する生き物を探すだけでも難しいし、たとえ見つけられても一瞬で隠れられてよく見えないことも多い。
まして、前日は夜間観察からスタートだったからなおさらで、車を分乗していて適切に説明ができないので、もどかしい。皆さんのストレスが溜まっていないか心配になる。
写真のような車で、サファリ。9人乗りと3人乗りの2台で出発。
茶色の小鳥、コゲチャキンパラは車の前を何度も飛んでいき、オオバンケン(こんな名前だけど番犬じゃなくカラスと同じサイズの鳥)も一度飛んだけど、この日、最初にゆっくり出会ったのはカワセミの仲間のナンヨウショウビン。この鳥、左目は見えていないみたいと後で写真を見てわかる。瞬膜(眼球を保護するまぶたとは違う半透明の膜)が写ってるのかと思ったけど、全ての写真で目が白く濁ってた。
右目は黒い。片目で餌を捕まえるのは大変だろう。
オオミツバチの巣がついているメンガリスの樹木。もう一つ、右側の幹にも付いている。この形といい、この木が樹高30メートル以上はある高木なので、巣だとは一見わからない。
朝から鳴き声が聞こえるギボン(ヒガシボルネオハイイロテナガザル)の声が近くに聞こえたからしばし待ってみるものの、姿を現しそうにない。
白い尾の長い鳥、カワリサンコウチョウの数が多く、鳴き声はよくしていたけど、姿を現したのは一度。
車で走り続けていたら、またオランウータンが見つかりました。顔が、最初はよく見えなかったけど、食べるのに忙しくて、ゆっくり待っていたら、だんだんこちらを気にしなくなる。
マカランガ(オオバギの仲間)の実を食べ続けている。この植物はアリと共生していると教わる。黙々と食べ続けているのを見ていると、美味しそうに見えて、どんな実なのか食べたいというよりはよく見たくなる。
この鳥は、コシラヒゲカンムリアマツバメ。長い名前だけど、観察者に優しい鳥で、いつもありがとう。
何が優しいかというと、一度飛んでも、ぐるっと回ってまた同じところに戻ってくる。
顔が凛々しい。
カワリクマタカの白色タイプ。基本は茶色いけど、白いととても美しい、かっこいい。ガイド達も喜んでいた。
真っ白な羽がもふもふそう。
しかも、しばらく観察させてくれました。ありがとう!
また、コシラヒゲカンムリアマツバメ。名前は長いけど、呪文ではなく、こ、しらひげ、かんむり、アマツバメ、と意味のある名前が付いている。
この正面顔で、黒目はとても愛らしい。可愛らしく撮影できて嬉しい。
続いて、カザリオウチュウ。尾羽の先にカザリが付いている。
この飾りがちぎれて一つしかない個体もよく見かけるが、今回は見やすいところに止まってくれ、かつ揃った個体でした。
ベースキャンプに戻ってきたのに、なぜそっちにいくの? と思ったら、ボルネオヒメハヤブサが青空バックに止まっていました。午前中の最後の鳥!
ボルネオ島の固有種で、額が白いの雄。体長15センチと、スズメより少し大きいサイズの極小猛禽。
このハヤブサみたいに小さい、アフリカにいるコビトハヤブサも、わりとこんな風に枝先に止まっていることが多い。大きな猛禽に狙われそうな気がするけど、気持ちだけは強いのだろうか。まだサファリカーに乗っていて、近づいて写真が撮れずにボケボケのこれがせいいっぱいで残念。
ベースキャンプの食堂にあった森の地図。一つのエリアを計画伐採(択伐)して、その1区画を伐採後は40年さわらない。それがちゃんと守られているから、ボルネオは森が残ったと。でも同じシステムが導入されたはずのインドネシアでは賄賂が横行して計画倒れとなり、短期間に樹がどんどん切られて森がなくなったと教わる。
朝のサファリから戻って朝食と休憩。そして昼食を食べてまた休憩後、15時30分から出発。午後はキナバタンガン川の上流に出る、森の中に道があっていける最も遠くの場所まで行って、夕食をお弁当で食べて帰ってくるコース。
走り始めてまたすぐにオランウータンがパンノキの実を食べているのを見つける。
ほどなくして、電線の上にレッドリーフモンキーが出ていたそうで、、、私は見逃したので写真なし。リーフモンキーはシャイで、本当に難しいなぁ。
キンバトが歩いていました。西表島とか日本にも見られる場所があります。
ヒメオウチュウが鳴いていて、鳴いていたから場所がわかりました。その後、サイチョウの雄が葉の隙間からチラチラ見える程度に見たり、キナバタンガン川でたくさん出会ったマレーウオミミズクに気づかず近づいて飛ばれたり。
17時40分、今日は世界一大きいテイオウゼミが早めに鳴き出す。定刻は毎日18時前後だからそれも不思議。
18時前、キナバタンガン川の上流を見下ろす位置に建つステーションに到着。かつて、伐採した木は全てこの川を通って運ばれたので、ここがチェック機関だった。今は、その名残りが残るだけ。一頭の犬が迎えてくれた。
ステーション内の建物で夕食のお弁当を食べて、19時前に再出発! 川に近いエリアは、マーブルキャット、ベイキャット、ウンピョウなどのネコ科のチャンスが高いエリア。過去に本当にマーブルキャットをここで自分で見つけたことがあるけど、今回は誰に出会えるだろうか? 夜間観察は、本当にギャンブル性が高くて、いつもドキドキする。当たりハズレの違いが大きくて、今日はどっちかな? 寒くならないこと、雨が降ってこないことを祈る。
19時24分 オオアカムササビが2頭で追っかけっこ。繁殖期とのこと。
19時33分 マレージャコウネコが道路にちらっと出てくる
19時49分 サンバーディアの叫び声
19時50分 マレージャコウネコがジグザグと車道の前を歩き続けていく。首の後ろの模様が面白い。
20時05分 ベンガルヤマネコの目が光ったのが見えたとMさん。
20時10分 マレーヤマアラシ 茶色い塊がもさもさと歩いて出てきてすぐ、また草むらの中に戻っていった。
20時27分 パームシベットが葉の隙間から見える。
20時43分 ボルネオゾウの音と足跡。新しいから近くにいるはず。しばし待つって見るが道路には出て来ず。
20時52分 マレージャコウネコまた現れる。
21時35分 宿、ベースキャンプに戻る。
という感じで、色々出たには出たけど、ほとんどよく見えない夜になってしまいましたが、まだ動物が出現してくれたことは良かったのでした。ある時、アフリカで一晩にウサギ1羽しか見れなかった夜の経験があるのですが、その時は「ここに本当に動物がいるの?」と質問されました。言いたくなるお気持ちはわかるのですが、クロサイ、シロサイが出現したこともある場所で、その夜、私たちがいるその時に、その場所に動物がいなかったら出会えないわけで、でも出かけていかないとチャンスはゼロなわけで、宝くじのCMみたいなことを言っていますが、事実です。どんな状況も楽しめる人でないと、夜間観察は辛いかもしれません。
でもそんな、何が出るかわからない夜間観察で、自分で見つけるのは喜びが大きいものです。
このヤモリは、私の部屋のトイレに夜にいた子です。電気をつけたら、壁を動き回っていましたが、静かにしていたら、壁に張り付いていてくれたので、カメラを撮りだして撮影。
私の愛爬レン(ヒョウモントカゲモドキ)思い出し、写真をたくさん撮りつつ、
遊んでもらいました。
指先や爪が、顔がかわいい。今、私の最も興味がある生き物が、爬虫類、両生類です。だんだん好きなもの興味あるものが増えていってますが、そんな絶頂期のマイブームが数年というか、4、5年は続きます(笑)
そして、この夜、22時半頃に部屋に鍵を入れたままロックする事件が発生。ここは普通の宿ではないので、鍵を求めて、その前に人の捜索に出ることに。ちょっとした夜の冒険になりました。
そして、最終的には意外なというか、予想外の展開になったので、きっと忘れられないだろうなぁと。そのお部屋を伝えるために撮った写真が、いい思い出になりました。
「カユマラン、カユマラン」と何度も聞いていたので、翌日、「カユマランって何?」ってガイドに聞いたら、すごいウケられ、樹木の名前だそうで、『カユマラン事件』と命名しました。