毎年6月に来るようになって9年目となり、ここに来ると日本の自然に必然的に向き合うことになる。
自然草原(草地)が柵の中だけ守られていて、かつては人から今は増えすぎたシカの食害から柵をはさんで、わかりやすく別世界が広がる。
その草地の中でつよくて増えすぎるある種を刈ることをしていたが、刈った草を集めて柵から出すという作業を今年は初めてした。
人の手が加わり続けることで、徐々にかつての状況を取り戻したというその景色は、多様な植物が相互に影響しあい、微妙なバランスのもとに成り立っている。人の盗掘によるバランスや気候の変化なども伴い、状況は刻々と変わってきた。
しかし、長年の継続が実を結び、かつて数を減らした植物が30年かけて個体数が1.5倍位に増え自生地の環境の多様性が守られている中に存在していることの優位性は計り知れないと聞く。
オブラートに包まざるを得ないことを言葉で書くと、とても難解になってしまうが端的にいうと三ツ峠山荘のご主人と息子さん、そして協力者の方々が継続して手をかけてきたことで、かろうじてそこで日本の自然が守られている。
日本にしかない植物・固有種がシカにどんどん食べられ、ときに人にとられ、植生が荒れ土地も崩れこのままだと多くの種が近い将来に絶滅を迎えるかもしれない。
日本の自然は独特で、というか世界中同じ自然はなく唯一無二だと感じているが、日本はいっきに近代化し自然から離れた生活をしている人が多すぎて顧みられることが圧倒的に少ない気がする。
自然が豊かな海外しか行かないせいかもしれないが、少し都市部を離れればまだまだ田舎で山や森がある。そして、そこに生息する動植物の価値に気づき保全し共存するようなった場所も見ている。そういう場所が少しずつでも増えていき継続され自然が人為的でも守られることを切に願っている。だれも気にしていない場所の自然は壊されるスピードはとてつもなく早い。
日本の自然に深く絶望した時もあったし、今のシカに荒らされている日本の現状は、私が日本の自然に仕事を通して急接近した2006年以降の20年前と比較したら信じられないくらい悪化しているところがほとんどであろうが、そうでないところも少なからずある。
そういう場所がまだあることに希望があると今は信じている。そして、そのひとつに関係性をもち、そこに誰でもではなくその場所の存在を愛おしく感じるだろう人をご案内してつなぐことが出来ることを嬉しく思う。
いつも迎えてくれる富士山や花々からたくさんのエネルギーを受け取り、私はここで毎年日本の自然を目の当たりにし感じている。
来年も、再来年も生きてるうちは訪れるし、季節も6月だけではない。8月や秋にも来て泊まったこともある。まだ、来たことはないが冬に来て美しい富士山を眺めたい気もする。ご一緒してみたい方は、すぐには連れて行ける場所出ないので(物理的にという意味ではなく)早めに私にコンタクトしてください。