モンゴルの旅 遊牧民が持つ脳内GPS

今回、一ヶ所ガイドも実際に行ったことのない場所、

大型の草食恐竜ブラキオサウルスを筆頭に、

たくさんの恐竜の足跡が残る場所を目的地にしていました。

リクエストを受けて、

昨年行く予定でスケジュールを組んでいましたが、

台風で1日出発が遅れたため、

旅程を変えざるをえなくなり、

今年2年目にしてやっと行けることに。

足跡の上に屋根があるから、

少なくとも、

見れないということはないとは聞いていましたが、

今まで22年の秘境の旅の経験上、

誰も行ったことがない場所に行くのは、

実はかなり心配。

ナミビアで、ウェルウェッチア(奇想天外)という名の植物を見に行った時に、

50年ぶりの大雨で普段水のない川が大河になっていて目的地に渡れず、

泣きそうになったことがある。

この時は、

似たような環境を探せばみつかるかも?

と必死で探していたら神様みたいな人が現れて別の場所に連れて行ってくれ、

ウェルウェッチアに対面でき感動と共に安堵した。

数年前まで、

具体的に言うなら

グーグルマップが使えるようになるまで、

私が普段行くような自然豊かな場所を目的地として移動している場合、

あとどのくらい?の質問の回答の

あと少しとか、

あと1時間は、

大抵あてにならない。

いや、全くと言ってもいいくらい、

当てにならなかった。

それは、外国人が適当に言っているのもあったが、

それだけでない。

ウソをついてるわけでなく、

真っ直ぐそこに行けない理由が色々あるから。

今回で言えば、

砂地になっている場所は避けないと、

車がスタックして動けなくなるので、

直線距離では測れないからだ。

他の国では、橋が落ちて修理するのを待ったり、

今回のモンゴルだと、

事故が起こって止まっていたりと、

途中、何が起こるか本当にわからないから、

到着時間は全くわからないのだ。

そして、モンゴルの場合、

途中に町のないような場所を移動するならば、

食料もテントもスペアタイヤも持って、

車二台で移動しないと、

何かあったら即遭難することになる。

モンゴル東ゴビ グーグルマップは使えない

最近の移動時は、

グーグルマップを利用して、

今どこにいるかを確認していた。

が、今回の目的地は道(舗装路)がない場所を走っているから、

そして目的地が有名でなくて表示されないから、

全く役に立たなかった。

紙の地図しか目安にならない、

ドライバーはGPSを利用出来ていたようだが、

私のスマホには道も目的地もでないしで、

ときおりガイドから知らされる、

およその距離しかわからない。

遊牧民から聞く、あっちの方!

で、あと何キロくらいと言うのがいちばん大事な情報だった。

遊牧民族の脳内GPS

あっちの方!

という情報だけで、

ドンドン目的地に近づいていく。

進む道があっているかどうかは

途中、全く人に会わないが、

所々にある遊牧民のゲルで、

その都度、確認していく。

そこで、行きたい場所を伝えると、

みんな、あっち!と指差す。

目指していた方向が間違っていないのを確かめ、

また進む。

その繰り返し。

時々、

羊とヤギの群れ、

ラクダの群れ、

ガゼル、

そして珍しい野生のロバにはあったが、

人には会わない。

モンゴルの羊やヤギの群れは人無しで放牧され、移動している。

人は遠くで家畜を見ているという。

ドライバーは、

地平線の見える広大な土地に、

うっすらとでもしっかりと延々とつながるわだちを走り、

私の目には見えていないけど、

ドライバーやガイドには見えている遊牧民のゲルに向かって進む。

そしてまた道を確認する。

最後の最後、

本当に目的地に近づいた頃、

わだちも無くなり、

砂地が深くなり、

危険なエリアにさしかかる。

戻って行けそうな場所を探しながらすすむ。

はっきり言って景色はほとんど変わらない。

そんな中、ぐるぐる車で回っていると、

私にはどこを目指しているのか、

とたんにわからなくなる。

でも、モンゴル人的には全く問題ないという。

脳内GPSがあるから!

と言われ納得。

ついに到着

車で出発して、

10時間後、

目的地に到着した。

途中、数回のトイレ休憩、

給油、

ランチ、

そして、

アザミの仲間が咲いていたところ、

景色が素敵で止まってもらった以外は、

走り続けてようやく到着。

目的地は意外にしっかりとした建物があり、

想像していたよりずっと、ずっと整っていた。

管理人もいたし、ゲルもあった。

でも、夏の3ヶ月の間に、

1ヶ月に20〜30人しか人は来ないと聞いた。

道しるべでも作ればいいのにといったら、

来年その道は通れるかわからないから意味がないと言われ納得。

風や雨で道は変わる。

脳内GPSがないと、

この地では行きたいところには行けないのだ。

「下手なドライバーは、死んでしまうからいない」と

台湾であまりに運転が荒いので、

何気なく呟いたら、

そう言われて納得したけど、

モンゴルも同じだと思った。

脳内GPSがない、

私みたいな人は、

モンゴルでは生きていけない。

そして、自分である程度修理が出来るような能力を持って運転していないと危険きわまりない。

運転だけできても全然足りない。

次に生まれるときは、

両方持てるよう努力したいし、

そう生まれたいと強く思った。

メッセージ

世界のフィールドを歩き生きてきた私は、移動して自分の知らない世界とつながり、自然や生きもののエネルギーでパワーチャージをしています。クリアな自然の中に身をおき、動植物を感じようとすることは、自分のコアな部分につながり、瞑想しているような落ち着いた時間を過ごすことができます。私とそんな時間を共有してみませんか。

この記事を書いた人

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橋場みき子

生きものと世界の大自然、旅や愛爬ヒョウモントカゲモドキ、ときどき娘のことなど書いています。動植物大好き、自然の旅案内人として、知人・友人に案内しています。2020年3月まで世界の動植物に会いに行く旅を手配・案内する生活をつづけて20年以上、1年に地球5周を移動するような生活でしたが激変。2021年9月私は生きものとのつなぎ人と自覚し復活。鎮まりながら多動し、今日も生きています。

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